消費税増税について
(神部伸也) 安倍首相は、消費税増税について秋の臨時国会を前にした10月1日にも判断を下すと報じられています。自民党は、参議院選挙の是非を問うてたたかったわけではありません。ですから、選挙で議席を増やしたからと言って、消費税増税を国民が認めたというわけではありません。
8月26日付けで、大手新聞社が一斉に世論調査を発表しました。例えば・・・
「日経」の世論調査では、2014年から8%、15年10月にすることについて、「予定通り引き上げるべきだ」と答えたのは17%。一方で、「引き上げるべきではない」が24%に上りました。「時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」との声は55%となりました。
「朝日」の調査では、「賛成」43%、「反対」49%と拮抗しましたが、77%の人が景気への悪影響を心配しています。
「毎日」「共同通信」では、「予定通り引き上げるべき」と答えたのはそれぞれ21%、22.5%と少数にとどまったのです。
これまで、増税を主張してきた大手新聞社の中からも、例えば「読売」からは「『来春の8%』は見送るべきだ」との論調が出されてきています。
こうしたもとで、政府は60人の有識者から意見を聞く「集中点検会合」を開きましたが、メンバーのほとんどが増税賛成派で占められており、到底「国民の声を聞いた」と言えるものではありません。しかも、最後は首相たった1人で増税の可否を決めるというのですから。
消費税増税について国民の声は「中止すべきだ」あるいは「先送りすべきだ」というのが多数となっている中で、増税を強行するのは、国民不在の政治であり、許されないのではないでしょうか。市長のご所見をお伺いします。
安倍首相は、4~6月期の経済指標を判断材料にするとしています。しかし、今度の大増税計画は、税率8%で約8兆円の増税、税率10%で13兆5千億円の増税となり、1997年の大増税を上回る、文字通り史上最大の増税となります。このような大増税を、わずか3か月の経済動向で判断できるのでしょうか。1990年から97年には、労働者の平均年収は50万円増加していとのことです。しかし、97年の消費税増税を含む9兆円の負担増によって、大不況に転落してしまったのです。
さらに、財政にも大打撃を与えました。97年の3%から5%への増税で消費税収は約5兆円となりましたが、増税後の3年目には消費税以外の税収が11兆4千億円も減りました。「大不況」で税収が落ち込んだことに加え、「景気対策」として法人税・所得税を減税したためです。歳出では「景気対策」として大型公共事業のバラマキが行われ、結局、歳入減と歳出増で、国と地方の借金は97年の増税後3年間で449兆円から600兆円と財政危機悪化を加速する結果となりました。今度も、同じようなことが繰り返されようとしています。
景気が回復していると言われていますが、それは一握りの大企業や大資産家のみにとどまっています。給料は減り続け、年金も減らされる。円安の影響で食料品やガソリンなども値上がりしています。被災地の復興もこれからという時に、消費税増税は復興を妨げるものになるのではないでしょうか。
日本共産党は、消費税は低所得者に重くのしかかる最悪の不公平税制であり断固反対の立場です。社会保障の財源と言うなら、①税制のあり方を、所得や資産に応じて負担する「応能負担の原則」に立って改革し、大企業・富裕層優遇税制を改めること、②国民の所得を増やす経済の立て直しで税収そのものが増えていくようにするなど「消費税に頼らない別の道」を提言として具体的に示しています。
あらためて、消費税増税に対する市長のご見解についてお伺いするとともに、市民生活を守る立場から「反対」の声を上げるべきと思いますが、改めてお伺いします。
(谷藤市長) はじめに、消費税増税についての国民不在の政治に対する私の所見についてでありますが、8月26日に発表されました新聞各紙の世論調査の結果では、消費税増税への理解が進む一方で、景気や国民生活への影響から増税の時期や幅について、慎重な対応を求める意見が多かったものと受け止めておりますが、政府においては、これらの結果も考慮し、判断するのではないかと存じております。
次に、消費税増税に関する私の見解についてでありますが、私といたしましては、消費税の増税は、今後ますます増加が予想される社会保障関係経費に、安定的に充当できる財源になるものと認識しておりますが、増税につきましては、法の趣旨を踏まえ、経済状況等を総合的に勘案した上で、政府において判断がなされるべきものと存じます。
また、先般の「集中点検会合」におきましても、増税に反対や慎重な意見もありましたことから、消費税が増税される場合にあっても、低所得者や、都市部に比べて景気回復が遅れる地方経済への配慮など、政府として、さまざまな経済・社会への影響に配慮する必要があるものと存じており、必要に応じ、市長会を通じて国へ要望してまいりたいと存じます。 |
社会保障改革プログラム、国民健康保険事業について
(神部伸也)消費税増税とセットで打ち出されている社会保障改革は、8月21日に「プログラム法案」の骨子が閣議決定されましたが、その内容は、公的介護をはじめ、年金、医療、保育の軒並み改悪する内容です。
介護については、要支援者を保険給付から外し、一定以上の所得者の利用料を引き上げ、施設から要介護1・2の人を締め出す。これを2015年度にも実施しようとしています。医療では、70歳~74歳の患者負担を現在の1割から2割への引き上げを2014年度にも実施しようとしています。年金では、年金支給額を毎年減らすマクロ経済スライドの確実な実施や公的年金等控除の縮小による課税強化など、年金生活者をより苦しめるものとなっています。保育分野では、公的責任を投げ捨て、株式会社の参入促進で金儲けの分野にしようとしています。
消費税を引き上げて、社会保障がよくなるかと思えば、とんでもない大改悪ばかりです。これでは、市民の生活や福祉を守ることができないのではないでしょうか。政府の打ち出した社会保障制度改革についてどのようなご所見をお持ちか、実施された場合、市はどのようにして市民生活を守る対応を行うつもりなのか、お知らせ下さい。
(保健福祉部長)政府の打ち出した社会保障制度改革についての所見についてでありますが、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図る観点から、少子化対策、医療制度、介護保険制度等について、一定の改革の方向が示されたものと認識しております。
また、実施された場合の市民生活を守る対応についてでありますが、社会保障は地方の理解と協力なしには推進し得ないものであり、持続可能な社会保障制度を確立するという今回の改革の実現に向けて、地方が適切に役割を果たすことができるよう、国が、責任を持って必要な財源の確保や地方への権限の付与等を行うとともに、地方と手順を踏んだ丁寧かつ十分な協議を行う必要があるものと存じております。
このようなことから、今後におきましては、財政基盤の安定化に対する具体的な施策、都道府県や市町村等、関係者間の協議など移行準備に要する時間を勘案のうえ、新しい制度への移行時期と工程表をできるだけ早く明確に示されるよう、市といたしましては、今後の国の動向を注視してまいりたいと存じます。
国保事業について
(神部伸也)この中で、国民健康保険事業の「広域化」について、2017年度末までに市町村から都道府県単位へ移行させる案となっています。現在、自治体によって保険税(料)が定められていますが、平均で約3倍の開きとなっているそうです。これを一律にすると保険税(料)が年数万円単位で上下する市町村が出てくるので、一定の保険税(料)の違いを認める方向とのこと。また、徴収や住民への保健事業は引き続き市町村で担うと報道されています。あらためて「国保の広域化」について、市としてはどう捉えているのかお知らせ下さい。
盛岡市では、高すぎる保険税負担をこれ以上引き上げないために、法定外繰り入れを行って現在の税率を維持していますが、広域化されれば、これができなくなり市民負担は一層重くなるのではないですか。
住民から受診の機会を奪う資格証明書については、資産や担税能力の有無をきちんと調査してから対応するなど、かなり努力をされ、悪質滞納者以外には基本的には資格証明書は発行しないという対応をとっています。資格証明書・短期証明書の発行の現在の実態についてお知らせいただくとともに、広域化されれば機械的な発行へ逆戻りするのかお伺いします。
また、今年度から、国保加入者の病院窓口の一部負担金を支援する助成事業がスタートしています。助成事業の現時点の問い合わせ・申請状況等についてお知らせ頂くとともに、広域化されてもこの事業は引き続き行われるのかお伺いします。
(市民部長答弁)「国保の広域化」について、市はどう捉えているのかについてですが、社会保障制度改革国民会議の報告書では、国民健康保険が抱える財政的な構造問題等を解決するためには、国保保険者の都道府県化は不可欠であるとしております。
全国市長会においても、「早急に都道府県を保険者とし、市町村との適切な役割分担のもと、国保制度の再編・統合を行うこと」を決議しており、本市といたしましても、その方向性については是としているものでございます。
しかしながら、財政基盤の安定化に対する具体的な施策や都道府県と市町村の役割につきましては、まだ示されていないことから、市といたしましては、今後の国の動向を注視してまいりたいと存じます。
次に、一般会計からの法定外繰入ができなくなることによる市民負担の増加についてでありますが、このことにつきましては、県と市の役割分担により、軽減化ができるかどうか決まるものと考えておりますが、報告書では、例として賦課徴税等の保険者機能を市町村が担うことを挙げており、仮にそのようなことになれば、制度上は、繰り入れによる保険料の軽減化を継続することは可能であるものと存じます。
次に、現在の資格証明書、短期被保険者証の発行の実態についてでありますが、8月の保険証更新の時点では、資格証明書21件、短期被保険者証226件でありましたが、現在ではそれぞれ17件、212件となっております。
国保の広域化に伴う資格証明書、短期被保険者証の発行についてですが、これらの証書の発行権限はあくまでも保険者にありますことから、原則的には、保険者である県が決定することになるものと存じますが、報告書では、保険者と市町村が協議する仕組みの構築も明記されておりますことから、運用につきましては、十分に市町村の意見を尊重しながら進めていくものと認識しております。
次に、低所得者に対する国民健康保険一部負担金助成事業の申請状況等の現状についてでありますが、窓口や電話による問い合わせは事業開始当初、月10件以上ありましたが、現在は月2,3件程度となっており、申請については、8月末までに、7件を受け付けております。
なお、この一部負担金助成事業につきましては、現在、助成金を国民健康保険特別会計から支出しておりますが、保険者が県に移った場合には、保険者として実施することはできなくなりますので、引き続き実施するとすれば、国民健康保険事業としてではなく、市単独の医療費助成事業として実施することになるものと存じております。 |
雇用問題~ブラック企業対策について
(神部伸也) 過酷な労働環境で労働者を追い詰める「ブラック企業」が、いま大きな社会問題となっています。
「ブラック企業」という言葉を生みだしたのはIT企業で働く労働者たちだそうです。ITは新興産業で、近年急速に拡大してきましたが、労働組合はほとんど存在せず、「35歳定年」と言われています。凄まじい長時間・過密労働で、それほど賃金も上がらず、次々と心や体を壊してリタイアしていくからだそうです。そうした働かせ方が、IT業界だけでなく、外食、小売り、介護など、その他の振興産業に広がっていったのです。
「ブラック企業」が社会問題として前面に押し出されるようになったのは、「ブラック企業」によって、特に若者が体や心を壊し、人生を奪われるような事態になる中で、勇気を持って告発運動に立ち上がったからです。そして、いま政府もやっと動かざるを得ない事態となったものと認識しています。この「ブラック企業」に対する市長の認識を伺います。
厚生労働省は、初めて9月を集中月間にして取り組みを実施しています。厚労省は、この「月間」で取り組む課題として、①長時間労働の抑制にむけて、若者の「使い捨て」が疑われる企業にたいする集中的な監督指導、②9月1日に「全国いっせいの電話相談」実施、③職場のパワハラ予防の周知啓発、の3点を挙げています。全国いっせいの電話相談では、1042件の相談が寄せられ、相談の半数が20代~30の若者に関わるものだったそうです。そして、相談内容の半数は、賃金不払い残業(サービス残業)との報道でした。当市に関わるものはあったでしょうか。情報をつかんでいればお伺いします。また、当市における「ブラック企業」の実態について、あるなしも含めてどのように市として捉えているのかお伺いします。「ブラック企業」の根絶のためには、実態把握が必要です。今回の厚労省の取り組みを1回だけに終わらせないことが必要です。労働分野は県の労働局などが中心となる分野かと思いますが、市としても人ごとではなく、盛岡市の将来ある若者の希望を失わせないという立場から、積極的に取り組んでいただきたいと思います。例えば、9月1日の電話相談。県と連携しながら、市内の弁護士や労働組合、NPOなどの支援団体等と連携しながら、取り組みを行い、実態を浮き彫りにしていくことも必要ではないでしょうか。いかがですか。
そもそも雇用の規制緩和路線によって、「世界でも異常な働かせ方」が横行しているのです。労働者派遣法見直しの論議が国では始まっていますが、その内容は、例えば、企業が一つの業務で派遣を使用できる期間を「最長3年」としているルールを撤廃して、労働者を入れ替えれば使い続けられる仕組みにしようとしています。昨年から施行されたばかりの「日雇い派遣の原則禁止」の見直しを求める声も経団連から出されています。合法的に「ブラック企業」の存在を認めることになり、許されないと思いますが、雇用の規制緩和路線を許さず、労働者を守るルールこそしっかり確立するよう市としても国に求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
(谷藤市長)次に、ブラック企業に対する認識についてですが、厚生労働省は、9月を「過重労働重点監督月間」とし、9月1日に全国一斉に「若者の使い捨てが疑われる企業等に関する無料電話相談」を実施したところでありますが、若者の使い捨てが疑われる企業等をいわゆるブラック企業としているものと存じており、将来を担う若者を疲弊させる社会的な問題であると認識しております。
この問題の解決のためには、今回、厚生労働省が行った電話相談などの取り組みを一過性のもので終わらせず、相談内容から、こうした企業の労働実態を明らかにするとともに、企業の体質そのものを改善する仕組みを社会全体で構築していくことが重要であると考えております。
(商工観光部長)厚生労働省が9月1日に実施した、「若者の使い捨てが疑われる企業等に関する無料電話相談」の結果についてですが、所管する岩手労働局からは、10月以降に厚生労働省が正式に公表するので、それまでの間は、県内の状況を公表できないと伺っており、正式な公表を待って、岩手労働局から情報を収集してまいりたいと存じます。
なお、全国の電話相談の内容は、速報によりますと、労働者本人からの相談が716件で全体の68.7%となっており、相談があった労働者の年齢は、20歳から39歳が505件で全体の48.5%と20代から30代でほぼ半数を占めております。
主な相談内容としましては、賃金不払いの残業が556件で全体の53.4%、長時間労働・過重労働が414件で全体の39.7%であったとのことでございます。
次に、当市におけるブラック企業の実態についてですが、現時点では使い捨て等が疑われるような相談は受けていないところであり、そうした企業が「ある」といった事実は把握していないところであります。
次に、ブラック企業根絶のための実態把握等への市の取り組みについてですが、労働関係の相談内容が関係法令に抵触するか否かの判断は、調査を含め、岩手労働局及び関係機関が行うこととなっておりますが、市におきましても、雇用相談を実施しておりますことから、問題と思われる相談があった場合、当該企業へ聞き取りを実施するなどし、実態を把握するとともに、必要に応じて、岩手労働局や関係機関に情報提供してまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、議員ご指摘のとおり、こうした問題は、将来ある若者の希望を失わせる、あってはならないことと存じており、市といたしましても、岩手労働局や県等の関係機関と連携を図りながら、実態解明に努めてまいりたいと存じます。
次に、労働者を守るルールを確立するよう国に求めることについてでありますが、労働者本人が希望する雇用形態のもと、安心して働くことができる環境を整えていくことが肝心であると考えており、労働者派遣法の見直しの議論や、いわゆるブラック企業の問題等について、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。 |
北厨川児童センター(老人センター)の施設改修について
(神部伸也) 北厨川児童センター(老人センター)の施設改修の問題について。
地域の方から、「雨の日に雨漏りがひどくてバケツを置いている。何とかならないか」というお話を頂きました。その際に、「床も波打っててひどい状況だ」というお話も合わせて頂きました。施設を伺って見てきましたが、床が波打っている状況は一目ではっきりと分かりました。このような状況になりはじめたのは、平成18年頃からだそうで、毎年改修を要望してきたとのことです。こうした状況を市はどのように把握し、要望についてどのように検討してきたのでしょうか。お伺いします。また、今後の対応についてお伺い致します。
雨漏りは、壁面のヒビから漏れたり、隙間から漏れるなどする状況のようで、さらに2階ホールの雨水が落ちてくる部分は、床が劣化し始めている状況です。出来るだけ早く手を打たないと、施設そのものを大規模改修しなければならなくなり、もっとお金がかかる事態となると思いますが、早急に対応できないものでしょうか。また、こうした施設修繕の要望はどれだけ出されているのでしょうか。それにどう応えていくつもりかお伺いします。
(保健福祉部長答弁)次に、北厨川児童・老人福祉センターの改修要望をどのように把握、検討してきたかについてでありますが、平成18年に管理者から改修について要望されておりましたが、児童センター及び老人福祉センターの多くが老朽化し、施設修繕箇所も多数にのぼることから、限られた財源の中で、計画的な修繕に努めてきたところであり、当該センターの雨漏り及び床の修繕につきましても、その中で検討を行ってきたものであります。
今後の対応についてでありますが床の修繕につきましては、9月補正予算として、今議会に提案しておりますし、雨漏りの修繕につきましても、平成26年度には対応できるよう予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、児童センター及び老人福祉センターに係る施設修繕の要望の状況についてでありますが、平成24年度において159件提出されており、緊急度、優先度を勘案しながら、アセットマネジメントの観点も取り入れながら、計画的な修繕に努めてまいりたいと存じます。。
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