2013年6月定例会 庄子春治市議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
アベノミクス、成長戦略、TPPについて
橋下「従軍慰安婦」発言について
中央市場「岩手魚類」事業譲渡について
平川食品の破産申し立てについて
公共工事単価増の影響
  補助事業への配慮
  労務単価増による労働者への適正支払
空き家対策
土地区画整理事業  

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 質問  答弁
 (庄子春治) 最初に、市長の政治姿勢に関して何点か伺います。

アベノミクスについて
 まず、「アベノミクス」といわれる安倍政権の経済対策がはたして市民のためになるのかについてです。
「アベノミクスで儲かっていますか」・・・お会いする方々に、お聞きしていますが「おかげさまで」という方にはまだ出会っていません。ほとんどの方は「私たちには関係がない」「それより、年金が下がって大変だ」「農機具に使う油代が上がってゆるくない・・・」などの声です。
 倍内閣と・黒田日銀体制が打ち出した「異次元の金融緩和」策がもたらした『株高』。「政治は結果だ」と安倍首相が胸を張り自信たっぷりに言ったその舌が乾かないうちに、5月23日に急落して以降乱高下を繰り返しており、「制御不能」という状況に至っているのです。なぜか、それは、「異次元の記入緩和策」が海外のヘッジファンドのマネーゲームの舞台に日本の株式市場を提供したに過ぎないからです。この半年間の海外投資家の日本株の買い越し額は10兆円に上り、株高を演出し、その5~6割をヘッジファンドが占めているのです。短期的に投機的な売買を繰り返して、高収益を狙うのがヘッジファンドです。実体経済の伴わない、マネーゲームの結果による「株の乱高下」ですから、庶民にとっては「関係がない」と映っているのです。しかし「関係ない」では済まされないのではないです。制御不能となったのは、株の乱高下だけではないのです。急激な円安が物価高騰を招き、国債から株へ投資先を変える動きに伴って、長期金利の上昇による住宅ローン金利の上昇、漁船の燃油高騰、食料品の値上がりに庶民は危機感さえ持っているのです。そして金融・資産バブルはやがてはじけて、より深刻な経済危機をもたらす・・・90年代後半の「バブル崩壊」、2008年のリーマンショックなど何度も経験している、危険極まりない道に入り込んでいるのです。
市長は、今日の株の乱高下について、どのような見解をお持ちでしょうか。
マネーゲームを呼び込んで生まれた株の乱高下に一喜一憂する。こんな経済運営は邪道中の邪道だと思いませんか。ご所見を伺います。
地方経済の実態はどうか。いま、岩手県・盛岡地方の景気の実態はどのようにとらえていますか。上向いているとするならば、それは、マネーゲームによるものではなく、震災復興による仕事が増えていることなど、実態経済が動いていることによるものではないですか。地域の実体経済をどう活性化させるか。ここにこそ地方の役割があります。市長の地域経済化に対する方針を改めてお聞かせください。

成長戦略・TPP
 アベノミクスでは、「第3の矢」といわれる「成長戦略」がさらに問題です。「強い農業」を打ち出しました。農産物の海外輸出を進め、農業所得を増やす・・などとするものです。これは、TPP参加が前提です。いま、日本の農業・食糧政策で必要なことは「食料自給率」の向上です。「海外輸出」は大いに進めるべきでしょう。しかし、TPPに参加して、国の試算でも自給率は現在の39パーセントから10パーセント台にまで下がると試算されている亡国の農政、先の衆議院選挙の際の公約違反をごまかすために謳われる「農産物の海外輸出」は本末転倒と言わざるを得ません。市長のご所見お伺います。TPP参加は許されないと思いますがいかがですか。
「成長戦略」では一層の「規制緩和」がうたわれています。「限定正社員」の制度化、解雇規制撤廃、残業代ゼロの「ホワイトカラーエグゼンプション」など、労働規制緩和が行われようとしているのです。これでは一層の貧困と格差が広がってしまう。これでは「大企業天国」「労働者地獄」となってしまう。
「日本が世界一企業活動をしやすい国にする」という「成長戦略」のもう一つの柱が「投資減税」の推進です。来年の4月からの実施を打ち出していますが、それはちょうど、消費税を5%から8%に引き上げをする予定の時期と重なるのです。すでに国と地方を合わせた法人税の「実効税率」は11年4月から復興財源への増税分を差し引いて、40.69%から38.01%に引き下げられ、15年4月からは復興財源分の増税がなくなり、35.64%に減税される予定なのです。それに加えて新たな減税をするというのです。

 「家計には増税、企業にはダブル減税」です。消費税増税で家計から吸い上げ、企業減税による税収減の「穴」を埋めることになる。
 安倍内閣の「成長戦略」がだれのためのものなのか。労働者、家計、農・漁業や地域経済を犠牲にして、多国籍企業やヘッジファンドなどの「成長」・儲けに奉仕する以外の何物でもないことが明らかです。
 市長のこれら「成長戦略」なるものに対するご所見を伺います。
 (谷藤市長) はじめに,株価の乱高下に対する私の見解についてでありますが,安倍政権がこれまで取り組んできた財政出動や金融緩和に対する評価や,成長戦略に対する期待感などから,株価は上昇してきたものと存じます。
そのような中,株価上昇のテンポが予想以上に早いことや,投機的な動きもある中で,リスクを警戒し株式を売却しようとする考え方や,一方で,日本経済は成長性が高く,今後も上昇が見込まれるとの考え方があり,株価が乱高下しているものと存じておりますが,このような状況は,日本企業の経営の安定化につながらないものと考えますので,株価安定への施策が必要であるものと存じております。
 また,政府の経済運営に関する所見についてでありますが,日本経済の実態を十分に把握しながら,効果的な施策を推進することにより,実質的な経済成長が図られるような政策が必要であると存じております。

(市長答弁)
次に,地方経済の実態についてでありますが,日本銀行盛岡事務所が発表した本年4月の金融経済概況では,8ヶ月連続して,「県内経済は復旧復興関連需要に支えられ,緩やかな回復を続けている。」とし,公共や住宅などの建設投資が復旧需要中心に一段と伸びを示しており,個人消費も底堅い動きを続けていることから,県内経済は景気改善に向けた動きが続いているものと存じております。
 しかしながら,中小企業金融円滑化法の期限が3月末で終了したことや,円安による原材料等の値上がりなどが企業の経営環境に影響を与えることもありますことから,今後とも地域経済の動向を注視してまいる所存であります。
 次に,地域経済の活性化方針についてでありますが,当市は第3次産業が大きなウエイトを占める産業構造となっており,事業所の大多数は中小企業でありますことから,中小企業の事業が拡大し,雇用の創出が図られることが,地域経済の活性化につながるものと存じております。このため,本市の歴史や自然などの地域資源をいかした観光・物産の振興を図るとともに,本年3月に策定いたしました「盛岡市工業振興ビジョン」に基づき,企業の経営支援や産学官連携の推進,IT関連企業等の誘致を進めるほか,魅力ある商店街の形成を図るなど,商業,サービス業の振興に取り組み,地域経済の活性化を図ってまいりたいと存じております。

(市長答弁)
次に,農産物の「海外輸出」の推進への所見についてですが,安倍内閣が日本経済の再生に向けて展開する「成長戦略」における,「攻めの農林水産業」の施策の一つであると受け止めており,詳細な内容については,現在,まだ示されておりませんが,TPPに「参加する,しない」に関わらず,農業所得の向上に有効な政策の一つであると認識しております。

(市長答弁)
次に,TPP参加に対する所見についてでありますが,農業をはじめ広範な分野において,国民生活に直接的な影響を及ぼすことが心配されており,特にも,産業基盤の弱い地方や,震災復興に大きな影響を及ぼすものと存じておりますことから,私といたしましては,このような状況を十分に踏まえ,参加については,国の慎重な対応が必要であるものと存じております。
 次に,成長戦略に対する所見についてでありますが,安倍政権の成長戦略である「日本再興戦略」が,去る6月14日に閣議決定されたところであります。
 この戦略は,実体経済の改善につなげ,デフレ脱却,経済再生を確実にするため,産業再興,戦略市場創造などを柱に各般の施策が盛り込まれておりますが,企業の生産設備の更新や事業の再編を促すことにより,企業収益を改善させ,賃金引上げを誘導し,消費が上向くという「成長の好循環」の実現を目指しているものであると存じております。
 私といたしましては,政府の経済政策が効果を発揮することで,地域経済の活性化につながり,何よりも住民一人ひとりの生活の向上が図られることを第一に期待するところであります。
橋下従軍慰安婦問題発言
 大阪市長橋下徹維新の会共同代表の「従軍慰安婦は必要だった」「沖縄の米軍も風俗を活用して性エネルギーのコントロールを」などという発言は、女性の人権だけでなく、男性も含めた人権を踏みにじるのものとして国内外からごうごうたる批判を浴びました。特にも「従軍慰安婦」問題については、国連から日本政府に対して、こうした発言が繰り返されないようにするための措置を求める決議が突きつけられる事態となったのです。
問題は、「『狭義の強制性』を示す証拠がない」ことをことさら強調して、日本軍の責任を免罪し、河野談話を否定するというところにあります。そしてその背景には、安倍首相自身の「従軍慰安婦への強制性は証明されていない」発言や、過去の戦争について「侵略戦争かどうかは歴史家が判断する」とう発言、村山談話見直し発言など、過去の第2次戦争における日本の戦争を侵略戦争と認めない歴史観があるのです。
このような歴史認識が、国際社会では通用しないことは明らかです。谷藤市長の、橋下「従軍慰安婦」問題の発言に対する見解、河野談話、村山談話についての見解を伺います。

 (谷藤市長)
 次に,橋下「従軍慰安婦」問題の発言に対する見解についてですが,政府は,橋下大阪市長の発言やその歴史認識にはくみしないものとしており,私といたしましても同様に考えているところでございます。
次に,河野談話,村山談話についての見解についてですが,政府は,我が国はかつて多くの国々,とりわけアジア諸国の人々に対し多大の損害と苦痛を与えたという,これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐものとしております。私といたしましても,我が国がこれらの立場を継承し,悲惨な戦争の教訓を風化させず,二度と戦火を交えることなく,世界の平和と繁栄に貢献していかなければならないものと存じております。
「岩手魚類」の事業譲渡
 (庄子春治)さて、この間、盛岡市政にも直接かかわりのある2つの企業が「事業譲渡」、「破産申し立て」という形で事業廃止となりました。
まず、中央卸売市場の水産卸売会社についてです。まず、ここに至るまで開設者としてどう対応してきたのか。です。先の「岩果」の廃業は、繰り返しの不正経理とずさんな経営などによって、資金繰りと全国からの信用失墜などによって至るべくして至った廃業であったのです。そして当時の市場管理者も、その不正を見逃し、あるいは見て見ぬふりをしていたとさえ指摘されるような、及び腰の指導管理だったことが思い出されます。しかし、今回はそれとは違う。経営努力は問われるものの、岩果の場合とは異次元の問題ではなかったか。厳しい市場取引環境の変化や、震災による影響が効いたということですが、認可者である農水からの指摘もあったということですから、対策のチャンスはあったのではないですか。今回「2-1」となったのですが、「1+1」というような対応ができなかったのかと残念に思います。
市長の努力についても一部聞いてはおりますが、こうした結果に至ったことについての経過と、市長の見解を伺います。
 問題は、その後の処理です。水産物の取扱い量を確保するのか、このことによる市場施設使用料の減少をどの程度に見込み、その対策をどのようにしようとしているのか伺います。

 (市長答弁)次に,岩手魚類株式会社が事業譲渡に至った経過と見解についてですが,当市場の礎を築いていただいた岩手魚類株式会社が廃業に至りましたことは,非常に残念なことであると存じます。
同社の経営状況が厳しいことから,平成20年度と23年度に農林水産大臣より業務改善の指摘を受け,同社では,自力回復に向け,強化品目を中心とした新規販売先の確保や人件費その他の経費の削減等を
内容とする改善計画を策定し,経営の立て直しに全力で取り組んでいただいておりました。
開設者といたしましても,定期的に財務状況のヒヤリングや公認会計士による指導を実施すると共に,改善計画の遂行に向けた指導を行い,状況によっては,合併等による卸売業者1社体制も検討する必要があることの助言も行ってきたところです。
そうした中,今年に入り,卸売業者2社から将来の卸売業者1社体制について,協議したいとの申し出があったことから,継続的に協議をお願いしたものでございます。その結果,到達点として,事業の有償譲渡となったものであり,私といたしましては,両卸売業者の熟慮の結果であると認識しているところでございます。

(花沢中央卸売市場長)水産物部の取扱量をどう確保していくのかについでですが,卸売業者が1社体制となることから,効率的な集荷による残品の減少などにより,取扱高は減少する可能性があると推測されますが,まずは,岩手魚類株式会社から出荷者などの引き継ぎがしっかりと行われ,出荷者や買受人のニーズに的確にこたえるための集荷体制が,一日も早く構築されることが必要であると考えております。現在,盛岡水産株式会社では,水産物部での取扱高を前年並みに維持したいとして,出荷者との調整を積極的に行っていただいておりますので,開設者としましても取引がスムーズに行えるよう支援してまいりたいと存じます。

 次に,市場施設使用料の減少見込みとその対策についてですが,卸売業者などの廃業に係る施設返還分につきましては,施設使用料が年間約3千3百万円ほどで,その内3階事務所分が1千2百万円ほどの減額となります。また,1階の卸売場などにつきましては,盛岡水産株式会社をはじめ場内業者においての使用をお願いし,協議しているところでございます。
使用料の減少対策としましては,メガソーラーの設置による収益を見込むほか,広い事務室を仕切って分割貸し出しなどを進めることとしており,市場関係業者以外の貸し出しを含め,更に活用策を検討してまいります。
平川食品問題
(庄子春治)もう一方の「平川食品」の破産申し立てについてです。盛岡市の「平川食品」に対する債権が、下水道料金の追徴金および過料合わせて1億1525万2815円が未集金として残ったほか、今年5月分の下水道料金163万2495円が未回収債権として残っているということです。矢巾町の未回収債権と合わせると、両市町で3の億7千万円以上ということです。
 
 この未回収債権の回収について市は今後どのように対処するのか、その見通しについてお聞かせ下さい。
この問題について市は、差し押さえ財産の「換価の猶予」措置を取ってきました。それは、①事業継続と従業員の雇用確保に配慮したこと、②そのうえで、債権の回収を図る、ということでした。
 今回の突然の「破産申し立て」によって、この二つの道が閉ざされてしまうのではないかと思うものです。
そこでまず伺いたい。「換価の猶予」措置にあたっては、当該会社の財務内容等を確認し、分納の見通しを判断して行っていたはずです。直近のそれはいつでしたでしょうか。その際、今回のような兆候は見られなかったのでしょうか。伺います。
そのうえで、市政にとって大事な二つの問題について伺います

 一つは雇用問題です。139人といわれる従業員には、不正は責任がありません。一度にこのような大量の雇用を失うということは大きな問題です。雇用問題として、市に相談窓口を設け、関係各機関などとも連携しながら、雇用確保に向けて対応すべきではないでしょう。市長のお考えを伺います。
もう一つは、債権回収と、当時の市の対応に対する検証をしてほしい、ということです。
同社が、長年にわたって矢巾町と盛岡市の下水道料金をごまかしていたことが発覚したのは2008年1月に「矢巾工場で不正」との内部告発が日本共産党盛岡地区委員会に届き、矢巾町議会議員の町当局への申し入れによって矢巾町が調査をして発覚し、同様のことが東見前工場でも行われていたことが明らかになったのでした。少なくとも、15年以上にわたり、わかっただけで合わせて2億1千万円以上、不正に下水道料金をごまかしていたのです。盛岡では、本来の下水道料金の33.6%しか払っていなかったということでした。
最大の問題点は、長年にわたりしかも巨額の不正行為であったにもかかわらず、真相が明らかにならなかったことです。当時、会社の責任は認めたものの社長は「2月1日に初めて聞いて絶句した」と自らの関与を否定し、(実行した)複数の社員については「今は辞めてどこにいるかわからない。探して責任を問うつもりはない」と実行者の責任は問わないと逃げたのです。
しかし、私たちに届いた内部告発には現場の職員だけでなく、会社の中枢が不正操作にかかわっていたということがリアルに記載されていたのです。実際、二つの工場で、それぞれの工場長が、自らの発想で、まったく同じ不正行為をするということは常識的に考えても成り立たないことであったのです。私は、単なる不正行為ではない。長期間にわたっていること、金額も巨額であること、二つの工場で同じことが行われていることを考慮すれば、たとえば詐欺罪として刑事告発を、と指摘しましたが、市はそれ以上の追及をしなかったのです。
 責任の所在をあいまいにしたままの対応が結局は今回の事態を招くことにつながったのではないか。そのことが、事業継続と雇用確保をしつつ債権回収というシナリオが崩れてしまうことにつながったのではないか。まじめに働いていた人が突然職を失いという結果にもつながった。責任の所在は所在として明確にしてこそ、会社の真の再建の道があったのではないかと思うものです。 
差し押さえ財産について「換価の猶予」措置についても、真面目に取り組んでもやむなく滞納が発生してしまったような場合と、今回のような、いわば不正に料金をごま化していたことへの対応は別です。責任の所在も解明されないまま今日まで来たということに対して市民の間から市政の公平性に対する批判の声がるのではないでしょうか。
市長は、今日の事態について、どのようなご所見をお持ちか。当時の対応への検証も含めてお聞かせいただきたい。


(市長答弁)次に,「平川食品」の破産申し立てに伴う雇用問題についてでありますが,失業者数は,全体で  129人,そのうち,盛岡公共職業安定所管内では 125人,盛岡市に住所を有する方は,81人となっ
ております。
 今回の破産申し立てを受けまして,6月13日に盛岡公共職業安定所,矢巾町及び本市による連絡会議を開催し,当面の対応を協議しております。
 具体的には,盛岡公共職業安定所が,6月21日に元従業員を対象に,求職受理等の手続きを行うこととしており,これに併せまして,本市と矢巾町が連携し,国民年金や国民健康保険等の手続きに関する説明会を開催することとしております。
 今後におきましても,失業者の雇用の確保に向けまして,盛岡公共職業安定所や矢巾町など関係機関の間で情報の共有と連携を図るとともに,事業者に対しましても,元従業員の再就職について,最大限の努力をしていただくようお願いしてまいりたいと存じております。
 なお,雇用の相談につきましては,企業立地雇用課に常設しております雇用相談窓口で,ご相談に応じてまいります。

(市長答弁)
次に,平川食品の破産申立てについてでございますが,盛岡地方裁判所から破産手続きの開始決定が行われ,平川食品が市に対して履行を確約しておりました「追加徴収下水道使用料」及び「過料」について,同社から支払いを受けることができなくなったことは,誠に遺憾と存じております。
また,市民の皆様に対して,このような事態となり,市が巨額の損失を被る結果にいたったことに対し,まずもってお詫び申し上げます。
次に,平川食品に対する当時の対応につきましては,刑事告発というご意見もございましたが,同社は,市内に所在する食品加工事業者として,市民をはじめ多くの消費者に,生活必需品を供給していることや,雇用の場としての役割も担っていること,また,「追加徴収下水道使用料」と「過料」の全額を返済すると確約したこともあり,刑事告発を行わなかったものでございます。
市としては,これまで,同社から経営状況の報告を求め,その内容を勘案しながら,毎月の確実な支払いを促すなど,債権管理の対応をしてまいったところでございます。

(上下水道部長答弁)
平川食品の未回収債権について,回収に向けての今後の対処等についてですが,平川食品に対しては,平成20年に追加徴収分の下水道使用料として 4,699万 2,017円,過料として 9,398万 4,034円を課して,その履行を求めてきたところでございます。回収に当たっては,経営状況を毎月把握しながら,確実な回収に努めてまいりましたが,盛岡地方裁判所から6月11日付けで,債権者等に対し,平川食品の破産手続きを開始した旨の通知がありましたことから,市といたしましては,今後破産法の規定に基づき事務手続きを進め,回収を行ってまいりたいと存じております。
手続きといたしましては,7月9日までに盛岡地方裁判所及び破産管財人に債権届出書の提出を行うこととし,その後破産管財人による債権額の調査が行われ,9月19日に債権者等に対し財産状況報告集会等,いわゆる債権者集会が開催され,破産管財人から説明が行われる予定となっております。それ以降は,破産法に基づく破産清算手続きが行われ,手続き終了後に,盛岡地方裁判所及び破産管財人から当市の配当額が示されることになるものでございます。
 現時点における当市の債権額につきましては,追加徴収使用料が3,767万5,181円,過料が 7,757万 7,634円,合わせて1億 1,525万 2,815円でございます。このほかに,5月に検針している下水道使用料などがございますが,今後,遺漏のないよう回収手続きを進めてまいります。
次に,換価の猶予措置後の状況についてですが,換価の猶予後は,期間を1年と定めた分納計画の下,毎月,支払いを受けておりましたが,平成23年3月11日の東日本大震災後,沿岸被災地の落ち込みを中心とした売上高の減少が続いたことから,昨年8月に,分割納付の期間を4カ月ほどとする納付計画を設定し,同社から,直接,経営状況の説明を受け,納付額の見直しも行いながら,確実な回収に努めてまいりました。
同社から財務内容等の状況説明を最後に受けたのは,3月分の月次決算の内容とともに4月17日であり,その時点では,原料価格の値上がりや販売競争の激化が続き,資金繰りは,依然厳しいものの,売上代金の早期回収の協力や,新たな商品の受注が見込まれるといった説明を受けましたので,今回のような破産に至る兆候は,うかがうことができませんでした。
契約問題
(庄子春治)次に、市の契約について伺います。
資材不足、人件費増などで入札不調が増えている、工期に遅れが出ているとのことですが、その実態について昨年度の事業、今年度の事業へどのような影響が出ているのか具体的にお示しください。

 さて、6月議会には、つなぎスポーツ研修センターと多目的運動場の整備費が資材高と労務単価の引き上げなごの影響による増額補正が計上されています。すでに発注済の工事契約については、今後変更契約が必要になると思われます。市では、「インフレスライド条項」などによって、契約変更を行っているということですが、何件ぐらいあるのか。その契約変更額については、どの程度が見込まれるのか伺います。

 また、今年度発注予定の工事については、設計金額が変わることから、既計上予算に不足が出ないのかが懸念されるところですが、その見通しと対応について伺います。

(獅子内財政部長)入札不調の増加による昨年度及び今年度の事業への影響などについてですが,まず,市発注建設工事の入札不調件数は,中止を含め,昨年度が66件,今年度は6月上旬までで3件となっており,昨年同時期との比較では,ほぼ同様の発生率となっております。また,入札不調等により,現在,未契約のままとなっている工事が6件あり,工期の遅れが生じているところでございます。
次に,インフレスライド条項などによる契約変更の状況ですが,現在のところ,単価変更による契約変更が4件終了し,契約変更額は合わせて約 573万円となっております。また,インフレスライド条項による変更が3件あり,契約変更額は,合わせて約 575万円となっておりますが,そのほか9件ほど,工事受注者から請求及び相談を受けている状況となっております。また,インフレスライド条項による変更が3件あり,契約変更額は,合わせて約 575万円となっておりますが,そのほか9件ほど,工事受注者から請求及び相談を受けている状況となっております。

 次に,労務単価の上昇や資材の高騰により,今年度発注予定の工事について,予算の不足を生じるのではないかについてでありますが,現在,労務単価上昇などにより予算が不足する事業を調査しているところであり,不足する場合にはできるだけ速やかに補正予算等で対応してまいりたいと存じます。
補助事業への対応
(庄子春治)このことに関連して2点伺います。
まず、この工事単価増は市の発注工事だけではなく、市の補助事業などでも同様の事態が予想されるわけです。
 自治公民館整備事業補助金については、既に昨年夏ごろ各町内会では見積もり合わせを行い、その結果について事前に予定申請し、その額に基づいて補助金額の決定通知が行われたところです。新年度になっていよいよ発注・工事となったとき、資材単価等によって工事費の不足が生じていないか懸念されます。このようなことへの配慮が必要になっているのではないでしょうか。考えをお聞かせください。


 市が保育所を移管する民間法人による保育所の施設整備についても同様のことが懸念されるところですが、いかがですか。法人の実態をつかんでいますか。公立保育所を移管する法人による施設整備は単なる民間事業ではありません。もともと市が責任を持つべき保育施設です。しかも、そのことと良し悪しは別としても、「民営化によってサービスを充実させる」ということで、定員増や、未満児保育枠の拡大を法人に求めているのです。本来は市が直接行うべき施設整備を「民営化することによって国の補助金を活用することができる」ということではないですか。
市発注工事の契約において適用している「インフレスライド条項」を準用して保育施設整備に対する単価高騰への配慮も必要ではないでしょうか。伺います。

公契約条例
 もう一つは、労務単価のみなおしを現場で働く人すべてに対して適用させる必要があるということです。平成25年4月から適用となる農水省と国交省の2省協定による公共工事設計労務単価は、岩手県ではたとえば、鉄筋工で 13,000円から16,400円に、普通作業員で11,800円から15,100円に、大工で、15,100円から19,000円に、など26%前後引き上げられています。工事契約金額に反映されるのは当たり前のことです。しかも、この設計労務単価については、「労働者に支払われる賃金にかかわるものであり、現場管理費(法定福利費の事業主負担、研修訓練に要する費用等)及び一般管理費等の諸経費は含まれていない。(たとえば交通誘導員の単価については警備会社に必要な諸経費は含まれていない)」と明記しているのです。

 この設計単価通りの賃金が労働者に支払われることが必要です。市としては、そのためにどのような対応をするおつもりでしょうか。今こそ、公契約条例の制定を行うべきではないでしょうか。ご所見を伺います。
(細川市民部長)自治公民館整備事業補助の対象となっている事業における資材高騰などに対する配慮についてでありますが,現時点では,今年度予定している自治公民館の新築・修繕に係る補助金12件のうち,10件の申請を当初予算額と同額で受け付けております。
予算の追加につきましては,現時点では考えておりませんが,議員ご指摘のとおり,市の工事におきましても,資材高騰などの影響による予算の増額措置が必要となっており,同様の問題が生じることも想定されますことから,実態を調査した上で,さらなる対応の必要性につきまして検討してまいります。




(熊谷保健福祉部長)市が保育所を移管する民間法人による保育所整備の実態をつかんでいるかについてでありますが,保育所の施設整備に係る契約の状況について,法人から報告を受け,実態について把握しております。
 次に,「インフレスライド条項」を準用することについてでありますが,保育所の施設整備の補助金については,国の補助基準額の上限額を補助することとしており,そのような条件で公募しておりますことから,「インフレスライド条項」を準用して,補助金の上乗せをすることは難しいと考えます。
しかしながら,今後,物価が著しく変動し,整備に支障が生じる恐れがある場合は,補助基準額の見直しについて,国に対し要望することも考えてまいりたいと存じます。



 次に,労務単価の見直しに伴う賃金確保の対応についてですが,今回の大幅な引き上げに際し,国においても各建設業団体に対し,技能労働者への適切な賃金水準の確保について強く要請しているところであり,市におきましても工事受注者に対し,技能労働者への賃金の支払や下請け企業との契約について適切な対応を図るよう要請してまいりたいと存じます。

 また,公契約条例の制定を行うべきではないかについてですが,労働者の賃金等の労働条件については,労働,賃金政策にかかわる全国的な問題でありますことから,まずは国が法律で整備すべきものと存じており,全国市長会において公契約法に関する基本的方針等の策定を引き続き国に要請しているところでございます。

 制定につきましては,先例市の運用状況等について引き続き研究を進め,課題等を整理してまいりたいと考えております。
(庄子春治)次に、空き家対策について伺います。4月に、東桜山地内の空き家において、裏側のコンクリート塀の一部が崩落し、隣接する市道、民家に直接的な被害を及ぼす寸前で止まったために参事には至りませんでしたが、市道の通行止めが一定期間続きました。
市では崩落したコンクリート片を空き家の敷地内に戻すこととし、それ以上の対策は今のところ取れない、ということでした。しかし、現場を見れば、今回崩落したところだけでなく、危険な個所が残されている現状であることから、緊急対策として市道側に防護柵を設けていただきました。しかし、根本的な危険がなくなったわけではありません。このことについて、今後どのような方針で対処するのか、お聞かせください。
この現場で、近くに住む方のご意見を伺いましたが、元飲食店だった建物を、旧漆芸美術館のチョン氏が作業場として使っていたのち、そのまま空き家になっている。建物の老朽化だけでなく治安上も、環境上も問題だと眉をひそめていました。

 全国で制定が進んでいる空き家対策条例では、どのよう規定を設けるのか各自治体の創意工夫がなされているようです。ポイントは、①空き家の適正管理に向けて、所有者の責務を示し、必要な場合の「指導・勧告」を規定している ②それに加え、所有者自らの対策が困難と申し出があった場合の自治体による「緊急安全措置」を規定 ③さらに、命令に従わない場合の「代執行」 ④空き家対策に対する助成 ⑤空き家の適正管理に加え、空き家の有効活用に対する支援を行うなどの誘導施策 などです。
盛岡市は、条例化にあたって、どのタイプを検討しているのでしょうか。盛岡市に行ける空き家の現状と対策への課題とともにお知らせください。

(藤島都市整備部長)東桜山地内における危険な個所の今後の方針につきましてですが,当該地は宅地造成等規制法に基づく宅地造成工事規制区域に指定されており,改善措置については,基本的に宅地の所有者等が行うこととなっております。
現在,宅地所有者の所在を調査中であり,所在が明らかになり次第,宅地造成等規制法に基づき,早急に改善されるよう勧告することとしております。
なお,改善されるまでの期間につきましては,パトロールを行い安全確保を図って参ります。

 (仮称)「盛岡市空き家等の適正管理に関する条例」の内容についてですが,空き家等の所有者に対する適正な管理の責務を明記し,状況に応じて助言・指導を行い,段階的に勧告,命令を行うこととし,是正が図られない場合は公表,代執行を行う規定を検討しております。
また,空き家等の危険な状況などにより,緊急的な対応が必要と判断された場合は,市が応急措置を行うことができる規定も検討しております。
なお,助成制度につきましては,条例施行後の状況を踏まえるとともに,他都市の事例や国の制度等を調査しながら,今後,研究して参りたいと考えております。
また,空き家等の有効活用に対する支援策につきましては,現在,平成26年度末まで社会実験として松園ニュータウンで実施している「空き家等バンク制度」について,効果や課題などの検証を行ったうえで,全市的な制度とすることを検討して参りたいと考えております。
本市における空き家の状況ですが,平成20年の住宅土地統計調査では,戸建て住宅の総数66,910戸に対して 5,160戸,約 7.7%が空き家となっており,平成24年4月から12月までに市に寄せられた空き家等に関する防犯・防災や生活環境などの情報は77件となっております。
空き家等に関する課題につきましては,相続等の権利移動による所有者把握の困難性や,所有者が遠隔地等に居住することにより適正管理についての認識が希薄となること,また,宅地を更地にした場合に固定資産税軽減措置の適用が無くなることによる空き家の放置などが課題であると考えております。
今後は,これらの課題に対する対応につきましても,条例制定に併せて検討を進めて参りたいと存じます。
土地区画整理事業について伺います。都南中央第3地区の見直し作業はどこまで来ているのでしょうか。昨年暮れの地域説明会でたくさんの意見が出されましたが、その後は個別の説明となっているようです。
中には、市の計画を一方的に示し、説得にかかっているような事例もあると聞きます。私は、見直し作業は最後まで一貫して住民合意で行うべきだ。地域ごとのワークショップ方式を!と提案してきましたが、このまま個別折衝で行くのですか。見直しについては、個別にたくさんの意見があるのです。提案もあるのです。思い切ってそれらを取り入れて見直しを進める必要があると思いますがいかがですか。
今後の住民合意による計画見直しの見通しについて伺います。
さて、そのような中24年度3月補正で事業費が増額されました。また、25年度の当初予算もあります。合計で、25年度中に事業を行う予算はいくらとなっていますか。その予算の消化の見通しは立っていますか?いかがですか。
この見直しでは、既に地域を挙げて区画整理区域から除外し、下水道の早期整備を望む要望も上がっているところもあるはずです。現状では、区画整理予算では、下水道整備はできない。矛盾です。同時進行で進める方策を検討すべきではないでしょうか。


(藤島都市整備部長)都南中央第三地区土地区画整理事業の計画見直しについてですが,昨年の8月と12月に関係権利者との意見交換会,本年3月には個別相談所を開催し,下水道整備,道路整備等の生活環境整備の早期改善,事業の早期完成等の御意見を頂戴いたしました。
これらの御意見を踏まえ,土地区画整理事業区域を縮小し,早期に地域全体の生活環境改善を図るという方向性を基に,7月に3回目の意見交換会を開催する予定でございます。
今後,「土地区画整理事業を継続する区域」と「土地区画整理事業によらない手法で生活環境整備を図る区域」に区分し,地域の皆様との話合いを継続するとともに,意見交換会等に御出席いただけなかった関係権利者への説明も行い,御理解と御協力を頂きながら,事業を進めてまいりたいと考えております。
次に平成25年度の予算執行の見通しについてですが,国の大型補正を含む平成24年度の繰越額が,約4億9千万円,平成25年度当初予算額が約5億円,合計で約9億9千万円となっております。
これらの予算執行につきましては,物件調査,移転補償交渉,工事発注等に取り組むことにより,適切な執行に努めてまいります。
次に下水道の整備についてですが,地域の方々より,土地区画整理事業区域から除外し,早期整備をして欲しいとの御要望もあることから,上下水道部と連携し,「土地区画整理事業による区域」,「土地区画整理事業によらない区域」ともに,並行して整備を図ることとして協議を重ねているところでございます。
いずれにいたしましても,関係機関と連携の上,関係権利者の皆様と話合いを継続し,御理解と御協力をいただきながら事業を進めてまいる所存でございます。