2013年6月定例会 神部伸也議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
憲法について
  県内の「首長の会」への見解
  96条について 9条について
待機児童解消について 
  現状と対応  横浜方式の課題
  保育の規制緩和の問題
学童保育について
生活保護について
 実態と扶助費削減の影響
 法改悪への認識
 日弁連の声明、国連決議
 就労・自立支援への対応

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 質問  答弁
(神部伸也) 憲法問題について伺います。5月14日、現役や前・元職の首長18人が名を連ねて、「地方自治に日本国憲法の理念を活かす岩手県市長村長の会」が結成されました。代表には相原正明前奥州市長が就任し、副代表には稲葉暉一戸町長と熊坂義裕前宮古市長がそれぞれ就任しました。また、お隣の川村光朗矢巾町長も会員に名を連ねています。
 結成総会について、盛岡タイムスが詳しく報道していたので引用して紹介します。
 相原前市長は挨拶で、「戦後70年近くになる現在の憲法はわたしたちの血肉、空気や水のようになり、当たり前で何がどこに問題があるのか気づかない人の方が多い。もしこれが壊れたり傷ついたり失われると自分の命がなくなるような大変な問題だ。このようなとき市長村長の現職と元職が集まり、何とか過ちのないよう論をまとめて住民に示す。市町村長は地域住民に最終的に責任を負うもの」と述べられました。そして、首長の現職と経験者という立場から9条や96条などについて情報提供していくということでした。
 現職や前・元職の首長経験者が、「何とか過ちのないように」と行動を起こされたことに、私は心から敬意を表したいと思います。谷藤市長は、こうした会が岩手県で結成された意義について、どのように受け止めているでしょうか。また、住民の生命と暮らしを守る立場から「過ちのないように」どう行動されるおつもりか、考えがあればご所見をお伺い致します。

 96条改定の動きについて伺います。 
 昨年の総選挙で、国会では自民党をはじめ、日本維新の会、みんなの党など改憲派が多数を占めました。改憲勢力の一番の狙いは、憲法9条を変えて、日本を「海外で戦争ができる」国につくりかえることです。しかし、憲法9条「改正」については国民の多数が反対しているため、持ち出されたのが「96条」改正です。改憲発議を、現行の「国会議員の3分の2以上」から「2分の1以上」にハードルを引き下げることを狙っています。しかし、これは単なる手続き論ではありません。近代の立憲主義は、主権者である国民が、人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛るという考え方にたっています。そのために、改憲発議の要件も、時の権力者が都合のいいように、簡単に憲法を変えることができないようにされているのです。そして、世界を見ても、憲法改正についての要件は厳しく定められています。例えば、アメリカでは上下院の3分の2以上に加えて州議会の4分の3以上の賛成が必要となっています。ドイツでも連邦議会の3分の2以上の賛成、連邦参議院の3分の2以上の賛成が必要となっています。韓国では3分の2以上の賛成に加えて、国民投票が必要とされています。改憲勢力は「3分の2は厳しすぎる」と言いますが、世界の常識となっています。この規定が緩和されれば、国民主権の立場に立って権力を縛るという憲法の本質的役割が壊されてしまうのではないですか。市長のご所見をお伺いします。

 次に9条について改めて認識を伺います。
 私は、市議会議員となって初めての質問で、谷藤市長に対して憲法問題について質問させて頂きました。谷藤市長は、憲法9条について「私は我が国が戦後の国際社会の中で築いてきた平和国家としての信頼や実績を踏まえ、将来にわたり現行憲法の平和主義の原則並びに当市の平和都市宣言などにおける崇高な理念を堅持していくことが重要であると存じております」と答えられました。ぜひ、この立場で、憲法9条の改悪は許さない、「戦争する国にしてはならない」という声を地方からあげて頂きたいと存じますが、ご所見をお伺い致します。
(谷藤市長)神部伸也議員のご質問にお答え申し上げます。
はじめに「地方自治に日本国憲法の理念を活かす岩手県市長村長の会」の意義をどのように受け止めているかについてですが、この団体は、「改憲・護憲にこだわらずに、憲法そのものの意義や地方自治にその理念を活かすことの重要性を深める」目的で設立されたものと存じており、同会では、住民に対して、憲法第9条及び第96条についての考えを示すということであります。これによって、住民において、憲法についての様々な議論が交わされるのは意義のあることで、私といたしましても、必要に応じて、他の市長とも連携するなどしてまいりたいと存じます。















 次に、憲法第96条の改正についてですが、昨年来、様々な議論が行われており、今後も、主権者である国民の幅広い意見を集約しながら、国会で徹底した議論を行い、広く国民の共感が得られるような進め方が必要であると存じております。





















 次に、憲法第9条についての認識についてですが、以前、ご答弁申し上げたとおり、将来にわたり憲法の平和主義の原則を堅持していくことが重要であると考えております。また、憲法第9条の改正については、憲法第96条と同様に、主権者である国民の幅広い意見を集約しながら、国会で徹底した議論を行うことが必要であると存じております。
 待機児童の解消は、親の切実な願いです。昨年度も待機児童が解消されていない状況でしたが、今年度はどうなっていますか。実態をお示し下さい。また、今年度以降の保育所の整備状況とどのくらいの定員増を図るのか。今度こそ待機児童を解消できると考えているのか、お示し下さい。















 さて、横浜市が「待機児ゼロ」を達成したとのことです。横浜市の待機児童数は、2010年4月の時点で1552人と全国ワースト1位だったそうです。昨年度、認可保育所を71か所増設し、31か所で定員を増やし、全国ワースト1位から「待機児ゼロ」へ大きく転換したとのことです。これだけ聞けば、素晴らしい取り組みだとなるわけですが、いくつか問題点があります。
 一つは、認可保育所580か所のうち、4分の1を株式会社が占めているということです。全国平均はわずか2%。異常に突出しています。園庭のないビル内の企業園が次々と作られたとのこと。保育士の入れ替わりも激しく、開園して半年で半数以上の保育士が退職したという園も複数あるとのことでした。また、経営の悪化により企業が撤退して、別企業が引き継いだという事態も生まれています。
 二つ目は、定員拡大や弾力化、面積基準の引き下げなどによる子どもの詰め込みです。定員増を図るために園庭やプールをなくして園舎を増築したり、ホールをつぶして保育室にしたりしているそうです。まさに、保育環境の悪化です。
 三つ目は、待機児童の提起を変えて、数合わせをしていることです。全国ワースト1位の時は、①事業所内保育への入所、②一時保育、乳幼児の一時預かり施設への入所、③育児休業の延長、④主に自宅での求職活動、という場合も待機児童に含まれていました。ところが、①~③を一昨年度から、④を昨年度から待機児童から外してしまったのです。ですから、統計上は「待機児ゼロ」となっていますが、実際は、認可保育所に入れない子どもが1700人以上いるのではないかと言われているのが実態とのことです。
 この「横浜方式」について、ご所見をお伺いします。

 また、安倍首相は、「成長戦略」で保育所の待機児童の解消を掲げていますが、そのもとで進められているのが、この株式会社参入の促進なのです。企業は利益を上げることが使命なので、子どもにかけるお金はどうしても少なくなります。全国でも無認可保育所でムリな詰め込みを行って、子どもの命が奪われる事例が起きておりますが、子どもの命が脅かされる規制緩和はやめるべきです。 
 国の制度改革の方向について情報があればお知らせ願います。また、今後、当市としては、どのように対応するのかお知らせ下さい。待機児童解消のために、私は、企業ではなく社会福祉法人による認可保育所を増やすことこそ、親の願いにこたえる道だと考えますが、ご所見をお伺いします。
(熊谷保健福祉部長)待機児童数の実態についてでありますが、平成25年4月1日現在、50人となっており、年齢別には、1歳児が13人、2歳児が33人、3歳児が1人、4歳児が2人、5歳児が1人であり、3歳未満児としては46人、3歳以上児としては4人となっております。
次に、今年度以降の保育所の整備状況と待機児童解消の見込みについてでありますが、今年度において、保育所の新設が1施設で71人の増、増改築が4施設で60人の増、合わせて131人の定員増を予定しているところであります。

 また、待機児童の解消の見込みについてでありますが、市では、これまで認可保育所の定員の拡大や、入所円滑化による定員の弾力化、既存の保育所の定員のフラット化や、認定こども園制度の活用の促進を4つの柱として、取り組んできたところであり、今後においては、これらの取り組みに加え「子ども・子育て支援新制度」において、新たに給付対象になる小規模保育所や家庭的保育事業などについても効果的なものを取り入れるなど、待機児童の解消に向けて、取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、横浜市の待機児童解消に対する所見でありますが、横浜市においては、企業の参入や面積基準の緩和などにより、3年間という短い時間で待機児童を解消したことは、一つの事例と考えております。
また、待機児童の提起については、国の「保育所入所待機児童数調査」において示されており、横浜市においてもその定義に基づいて待機児童数を算出しているものと考えます。
 























 次に、国の制度改革の情報についてでありますが、平成25年6月14日に閣議決定さらた規制改革実施計画においては、保育分野について、①保育所への株式会社・NPO法人等の参入拡大、②利用者のニーズに応えた保育拡充、③保育の質の評価の拡充、④保育士数の増加、⑤社会福祉法人の経営情報の公表、⑥事業者内保育施設の助成要件及び認可保育所の設置基準における避難用の屋外階段設置に係る見直しに重点的に取り組むとされております。
 また、本年4月19日に安倍首相が打ち出した「待機児童解消加速化プラン」においては、①賃貸方式や国有地も活用した保育所整備、②保育の量拡大を支える保育士確保、③小規模保育事業など新制度の先取り、④認可を目指す認可外保育施設への支援、⑤事業所内保育施設への支援の5項目が示されております。
国の制度改革に関する市の対応についてでありますが、株式会社・NPO法人の参入拡大については、当市においては、既に、企業の運営による保育所が2園あり、適正な保育サービスが提供されておりますことから、今後とも、認可の申請の際は、適切に対応してまいりますが、その他の項目については、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
次に、待機児童解消のためには社会福祉法人による認可保育所を増やすべきとの考えに対する所見でありますが、市の認可保育所48園のうち、社会福祉法人による運営のものが40園、学校法人によるものが6園、企業によるものが2園となっており、いずれも適正な保育サービスが提供されておりますことから、今後におきましても、認可保育所を経営する法人の経営形態によることなく、多様な事業者の能力を活用していきたいと考えております。
 学童保育について伺います。現在、学童クラブの運営主体は、保護者会、社会福祉法人、NPO法人、学校法人、運営委員会と様々です。学童クラブの運営に関して、市はどのように関わっているのかお知らせ下さい。







 近年、両親共働きが増えるとともに、長時間労働で迎えが遅くなる方も多くいるとお聞きしております。保育園では、延長保育を申請すると、夕方のおやつが提供されますが、どうしても迎えが遅くならざるを得ない親としては助かっています。しかし、学童クラブではそれがないとお聞きをしました。迎えに行くまで、子どもがおなかをすかせて待っていなければならず、かわいそうだ。何とかならないかという訴えを頂きました。この点について改善策がないのか、お伺い致します。
(熊谷保健福祉部長)学童クラブの運営に関して、市はどのように関わっているか、についてでありますが、市は、「盛岡市地域児童クラブ事業実施要綱」に基づき、学童クラブの運営主体となっている社会福祉法人などの団体に、事業を委託しております。
各団体には、学童クラブ運営費の概ね2分の1を想定した国の補助基準額に、市単独の補助金を加算した委託料を支払っているほか、保護者の保育料の負担軽減を図る目的で、学校の余裕教室の活用や市有財産の無償貸付を行っております。

 次に、学童クラブでのおやつの提供についてでありますが、市が委託している31の全ての学童クラブにおいて、午後3時頃から5時頃の時間帯に保護者が経費を負担して、おやつを提供しております。
また、クラブを利用する児童は、保護者の就労の都合により帰宅が遅くなる場合が多いことから、午後6時以降に2回目のおやつを提供しているクラブが18ありますが、2回目のおやつを提供するかしないかは、各クラブが保護者の意見を伺いながら、それぞれの実情に応じて判断しているものと存じます。
 生活保護について伺います。厚生労働省の6月12日の発表によると、今年3月に全国で生活保護を受けた人が前月比5,835人増の216万1,053人となり、11か月連続で過去最多を更新しました。受給世帯も157万8,628世帯と過去最多となっております。改めて、当市の実態についてお知らせ下さい。

 生活保護制度は、いま重大な岐路に立たされています。すでに、国の2013年度予算では、生活扶助費の削減が決められました。3年間かけて総額740億円削減するという計画です。今年の3月議会の質問では、盛岡市の影響額は、3年間の推計で2億2千万円の減額ということでしたが、その後、具体的に世帯への影響について試算していれば、お示し下さい。












 さらに、安倍政権は5月17日に、「生活保護法改悪案」と「生活困窮者自立支援法」閣議決定し国会に提出しました。1950年に制定された現行生活保護法の本格的な改定は初めてとなります。その内容は、生活困窮に陥った人をとにかく救うという現行法の仕組みを根底から覆す大改悪です。

 生活保護制度は、現行法では、生活保護の申請者が口頭でも意思表示すれば、実施機関が要件を吟味し、保護を開始するかどうかを期限内に回答する義務を負っています。しかし、改悪案では、申請者に書類提出の義務を負わせ、試算や収入などを記載した申請書の提出や、厚労省が定める必要書類の添付を求めています。申請時に必要書類がそろっていないと申請できなくなり、申請という制度利用の入口で生活保護のしめつけを強め、申請権と人権を侵害するものです。

 さらに、現行法では、扶養は保護利用の要件ではありませんが、改悪案は、扶養義務者や同居の親族に対して扶養が困難な理由について「報告を求めることができる」と規定しています。実施機関が官公署などに資産や収入などの資料提出を求め、銀行や雇い主に照会することまで可能になります。

 こうした改悪案に対して、日本弁護士連絡会は反対の声明を発表しています。①窓口で書類の不備などを理由に追い返す違法な「水際作戦」を合法化する、②扶養紹介によって保護申請にいっそうの萎縮的効果を及ぼす―という点で、看過しがたい重大な問題がある、と指摘しています。そして、「我が国における生存権保障(憲法25条)を空文化させるものであって到底容認できない」として廃案を強く求めています。
また、国連の社会権規約委員会は、日本政府に対して、「生活保護の申請手続きを簡略化し、申請者が尊厳をもって扱われることを確保する措置」を講ずることや、「生活保護に付きまとうスティグマ(恥の烙印)を根絶するために国民を教育する」ことを勧告しています。こうした、日弁連の生命や国連の勧告をどのように受け止めますか。ご所見をお伺い致します。
 
 まさに、今回の改悪は、申請権と人権を侵害し、国民の生存権を危うくするものに他ならないのではないでしょうか。私は、これまでの盛岡市の生活保護行政は、本当に頑張っていると感じてきました。全国で行われているような「水際作戦」は行われず、むしろ、例えば、リーマンショックの時に派遣切りにあった労働者が、県外から盛岡市にも来ました。その時に、私たちも取り組みの中から改善を求めてきましたが、盛岡市はとにかく救うことを第一に要請にも応えて頑張りました。これまで積み上げてきた、「国民の命を守る」という行政が、国の法改悪によって、できなくなってしまう重大局面にさらされています。
 
 谷藤市長は、どのように認識していますか。また、住民の命を最終的には守る立場として、「推移を見守る」では済まない状況となっていると思いますが、その点はいかがでしょうか。反対の声を上げるべきではないでしょうか。ご所見をお伺い致します。

 それからもう一つ、「就労可能な被保護者の就労・自立支援の基本方針について」についてですが、“就労による自立の促進”の名の下に、保護開始後3か月~半年の間に「低額であっても一旦就労」することを基本としています。
 これは、失業者本人の自立につながらないだけではなく、大量の生活保護利用者が低賃金の短期・不安定雇用に流れ込めば、雇用全体の質を押し下げることになるのではないですか。いま当市で行っている「就労支援プログラム」は、社会から離れていた人を復帰させることも含めて、丁寧に就労に結び付けていくものと認識していますが、国の改悪によって、乱暴に社会に放り出されることになるのではないですか。どう影響していくとお考えかお示し願います。
(熊谷保健福祉部長) 当市の生活保護の現状についてでありますが、各月の生活保護受給世帯数と受給人員数をそれぞれ年度ごとに平均した値で、ここ数年の推移をみますと、平成21年度は、生活保護受給世帯が2,954世帯で受給人員が4,213人、以下同様に22年度は、3,361世帯で4,826人、23年度が3,622世帯で5,221人、24年度が3,740世帯で5,307人と増加してきておりましたが、25年4月では3,752世帯、5,277人となっており、受給世帯数及び受給人員が過去最多であった24年8月の3,756世帯、5,333人と比較して、世帯数で4世帯、受給人員で56人の減でほぼ横ばいとなっております。
次に、生活扶助費見直しによる具体的影響についてでありますが、国が示す生活扶助基準額の見直しのモデル世帯ごとに月額で比較しますと、25年度については、30歳代と20歳代の夫婦と4歳の子どもの3人世帯では月額約5,000円の減額、以下同様に40歳代夫婦と小中学生の4人世帯で約6,200円、70歳代以上の単身世帯で約1,200円、60歳代の単身で約860円、40歳から59歳の単身で約1,400円、20歳から40歳の単身で約2,300円、70歳代以上の夫婦2人世帯で約2,100円、60歳代夫婦2人世帯で約1,700円、30歳代の母親と4歳の子どもの2人世帯で約2,800円の減額になるものと試算しております。
なお、生活扶助費は、今年度につきましては、最終見直し額の概ね3分の1の減額となり、引き続き26年度、27年度と段階的に減額していくこととなります。

(谷藤市長)次に、生活保護法の改正についての私の認識についてでありますが、今回の改正は、必要な方には確実に保護を実施するという基本的な考え方を維持しつつ、今後とも生活保護制度が最後のセーフティーネットとして、憲法第25条に規定する生存権を具現化し、最低限度の生活を保障し、自立を助長することを目的とする制度として、国民の信頼に応えられるよう改正されるものであると認識しているところであります。
また、今回の改正案については、国会審議により修正が加えられ、「申請書の作成や必要書類の添付ができない特別に事情があるときは、申請書の提出や書類添付を要しない。」とした内容が追加されているところであり、要保護者の状況に応じた相談・申請の対応が可能となることから、申請権を侵害するものではないと認識しております。
なお、改正法案の附則において、「改正法の施行後5年を目途として、改正規定の施行状況を勘案し、規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講ずる。」とされていることから、改正法施行後の生活保護実施の状況をみて、課題があると認められる場合は、全国市長会を通じて意見を申し述べてまいりたいと存じます。


(熊谷保健福祉部長) 日本弁護士連合会の声明や国連の勧告をどう受け止めるかについてでありますが、今回の生活保護法の改正案では、国民の生活保護制度に対する信頼を高めること等も改正の趣旨とされており、申請書の提出に係る手続の整備と、生活保護の開始に当って、扶養義務者に対し厚生労働省で定める内容の通知をすることとしたものであります。
このうち、申請書の提出に係る手続の整備につきましては、国会審議により修正が加えられ、特別の事情があるときは、申請書の提出を要しないとされたほか、扶養義務者に対する通知につきましては、厚生労働省において、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて限定的な場合に限ることとし、その旨を省令に明記する予定としておりますことから、保護申請に対する萎縮的効果を特に及ぼすものとは考えていないところであります。
また、制度運営の簡素化等については、生活保護制度が国民からの信頼を得る視点とのバランスを考慮することが必要でありますことから、国において、適正に対応すべきものと存じます。













 
 次に、就労・自立支援の基本方針の施行による影響についてでありますが、国の基本方針は、本人の同意を得た上で計画的な求職活動等の支援を行うことを基本としており、就労に何らかの阻害要因がある方については、勤労意欲の喚起を含めた適切な事業に移行するなど、個々の状況に合わせた支援を行うこととされており、また、ある程度の稼働能力を有する方については、生活のリズムの安定や就労経験の積み重ねにより、その後の就労に繋げやすくするという観点から、短時間、低収入であっても一旦就労する方向で支援することとしているものであります。
当市におきましては、生活保護の受給に至った方が、就労できない状況が長く続いた場合、自立が困難になる傾向がみられることから、これまでも、個々の状況に応じ、「就労支援事業活用プログラム」、「稼働能力活用プログラム」及び「職場体験等事業」の3種類の就労支援プログラムを実施し、就労や社会参加に向けた支援を行っているところであります。
このようなことから、この基本方針は、これまで当市が実施してきた支援内容と変わるところはないものと考えております。