2013年3月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
介護保険について
  訪問介護生活援助実態調査
  グループホーム火災対策
成年後見人制度について
障がい者対策について
農業支援
  人・農地プラン  新規就農者支援
定住対策

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 質問  答弁
 ◆18番(鈴木努君) 日本共産党市議団の鈴木努です。通告に従い質問しますので、よろしくお願いいたします。
 
 まず最初に、介護保険についてお伺いをいたします。ことしの1月21日に厚生労働省は、2015年から実施する介護保険制度の改正についてのメニューを示しました。今回の制度改正は、社会保障、そして税の一体改革の一環でありますが、1つに要支援者や要介護1、2の人の施設利用料の引き上げ、要支援者の予防効果のないものを保険から外す内容となっております。2つ目には、一定以上の所得の場合は、サービス利用料を現在の1割負担から2割負担へ引き上げ、施設の居住費については、低所得者の負担軽減を認めず、資産を担保にして借金を負わせるリバースモーゲージや軽減した分の費用を死後に遺産から徴収する死後精算制度を例示し、高齢者のわずかな所得や資産についても取り上げられる中身となっており、ますます介護保険のサービスが受けられなくなってしまうのではないかと懸念されているところであります。

 さて、2011年に改正された介護保険法では、地域包括ケアの実現を目指すとされております。この地域包括ケアは、身近な地域で住まいを基本に医療や介護、生活支援サービス、介護予防が切れ目なく提供される体制と定義されております。しかし、政府が実際に目指している地域包括ケアは、高齢者、国民の「最後は住みなれた自宅で」の願いを逆手にとり、利用者、患者の在宅への押し流しを徹底することによって、公的給付をできるだけ削り込む安上がりな体制となっております。2012年、介護報酬改定で実質的にマイナス改定したことや、この実質マイナス改定という枠組みの中で、今までにない強力な政策誘導が図られてきたことを見ると明らかであります。

 具体的には、重度ケアや訪問看護、リハビリ、退院支援、医療との連携など、政府の地域包括ケア構想や改正法に沿った領域を重点に据え、24時間対応型の訪問サービスや各種加算の新設、基本報酬部分の引き上げを実施いたしました。それに対して、効率化の対象とした分野については、従来の水準を超えた徹底的な削減、適正化が行われました。特に訪問介護における生活援助の見直しや時間短縮によって、利用者やヘルパーが忙しそうで声をかけづらくなったと会話が減少し、利用者とヘルパーとのコミュニケーションがとりづらくなった、また、事業所からすれば、生活援助の時間が45分では足りず、60分のサービスを行い、その分が事業所の持ち出しとなってしまうなど、問題が出てきております。

 このような中で、生活援助の実態調査について、市長は昨年の9月議会で、来年度市内の介護支援事業所や訪問介護事業所を対象に実施すると答弁されておりましたが、どのくらいの範囲での調査を予定しているのか。また、利用者の方の調査も同時に行う必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。

 長崎市で認知症の高齢者が生活していたグループホームの火災で4人のお年寄りが犠牲となりました。このグループホームの建物は4階建てで、1、2階部分がグループホームとなっており、建物にスプリンクラーの設置がなかったことが被害を大きくした原因の一つと見られております。このホームの延べ床面積は、消防法でスプリンクラーの設置が義務づけられている275平米に満たない約270平米で、運営会社は義務が生じないことを理由にスプリンクラーの設置をしていなかったとのことであります。
 最近の高齢者施設の火災の状況を見ますと、06年には長崎県の大村市のグループホーム、08年11月には仙台市の介護つき有料老人ホーム、同年12月、福島県いわき市の老人介護施設、09年3月には群馬県渋川市の高齢者入所施設、2010年3月には札幌市のグループホームでの火災が起きております。このような事態を防ぐためには、スプリンクラーの設置基準の見直しや設置の際の補助制度拡充が必要であります。国に対し制度の拡充をするよう求めていただきたいのですが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。

 あわせて、夜間における小規模施設の人員配置についても見直しが必要と考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。

 今後地域包括ケアが進められます。施設から在宅への流れが強まっていく中で、在宅での防火について、ハード面、ソフト面での改善が求められてくると思います。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、65歳以上のひとり暮らしと老夫婦だけの世帯を合わせた数は、2010年の1,038万人から2035年には1,388万人へと増加し、うち75歳以上が6割を占める状況になります。住みなれた自分の家で安全に暮らし続けるには、防火にも目を配っていく必要があると思いますが、当市ではどのような対策をお考えでしょうか、お伺いいたします。
 ◎市長(谷藤裕明君) 鈴木努議員の御質問にお答え申し上げます。

  始めに、訪問介護の生活援助の実態調査についてでありますが、市内の居宅介護支援事業所や訪問介護事業所を対象に状況把握のための調査を予定しており、実施に当たっては平成25年2月末現在における市内の居宅介護支援事業所96カ所と訪問介護事業所85カ所の全事業所を対象に実施する予定としているところであり、本年6月から8月までの期間で調査を実施し、その後10月を目途に取りまとめることとしております。
 次に、生活援助の利用者に対する調査についてでありますが、実際に利用している方の意見を伺うことも重要であると考えておりますので、25年度において調査を実施する方向で検討してまいりたいと存じます。
 次に、認知症高齢者グループホームにおけるスプリンクラーの設置基準の見直しや、設置の際の補助制度の拡充についてでありますが、現在消防法令では延べ床面積275平方メートル以上のグループホームでは、スプリンクラー設備の設置が義務づけられているところでございます。



































 総務省では、このたびの長崎市で発生したグループホームの火災を踏まえ、認知症、高齢者等が入所する施設における防災対策のあり方について検討会を開催することとしており、今後のグループホーム等における防火対策やスプリンクラー設備の設置基準も含め、検討することとしております。
 また、厚生労働省においては、グループホームにおけるスプリンクラー設置等の実態調査を行っているところであり、この中で未設置の理由の確認を行うこととしておりますことから、まずは国の動向を注視してまいりたいと存じます。
 次に、夜間における小規模施設の人員配置の見直しについてでありますが、認知症高齢者グループホームでは、2ユニットで1人の配置を認めていた例外規定が24年4月から廃止され、1ユニット当たり1人以上とされたところであり、また小規模多機能型居宅介護では1人以上、短期入所生活介護では単独型で利用者数が25人以下の場合には1人以上とされているところであります。
 いずれにいたしましても、夜間に配置する職員の人員基準の見直しについては、利用者の安全性の確保の観点や経営上の観点も踏まえて、介護報酬の見直しとあわせて検討する必要があるものと認識しております。
 
◎保健福祉部長(扇田竜二君) 高齢者世帯に対する防火対策でありますが、平成24年6月1日現在で、当市の高齢者人口は6万4,989人となっており、世帯別では65歳以上のひとり暮らし世帯が9,781世帯で、老人夫婦だけの世帯が8,287世帯などとなっており、今後も増加していくことが予想されることから、市では火の取り扱いに心配を感じている方などへの支援として、在宅の65歳以上の方のみで構成される世帯で、所得要件等を満たす世帯を対象に、火災警報器や自動消火器等の給付や緊急通報サービス事業等を実施しているところであります。
 また、地域包括支援センターなどの窓口で、火の取り扱いに心配がある方についての相談があった場合には、その個々の状況に応じて保健師等の家庭訪問による指導援助を初め、家族を交えての相談や施設入所の検討を行うなど対応しているところであります。
 今後におきましては、民生委員やシルバーメイトなどによる地域での見守り活動や配食サービスによる安否確認などを通じて、火の取り扱いに不安のある高齢者にどのような支援が可能かどうか検討するとともに、高齢者が住みなれた地域で安心して安全に暮らしていけるよう、消防等関係機関との連携をさらに強めながら取り組んでまいりたいと存じます。
 
◎消防防災監(長岡利明君) 消防の立場から高齢者世帯の防火対策についてでございますが、高齢社会を迎え、火災による高齢者の死者が増加することが懸念されることから、春と秋の火災予防運動などの行事に合わせて、消防団や婦人防火クラブ等と合同でひとり暮らしの高齢者等を含めた一般家庭を訪問し、住宅用火災警報器や消火器などの設置の重要性、ガスコンロや暖房機器等の設置状況の確認を行うとともに、避難方法などの指導を行っているところであります。
 また、町内会や婦人防火クラブなどを対象とした防火座談会や防火映画会等の中で、高齢者の避難対策の指導を初め、高齢者等を援護している民生委員などを構成員として、市内各地区で開催される地域ケア会議に職員が出席して、火災予防の情報を提供するなど、関係機関との連携を図り、高齢者の防火対策の推進を図っているところであります。
 今後とも住宅火災による高齢者の死傷事故の防止を目指し、消防団や婦人防火クラブ等の御協力をいただきながら、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、成年後見制度についてお伺いいたします。成年後見制度は、認知症の高齢者や知的障がい者、精神障がい者など、自分で十分に判断することができない人が財産の取引など契約行為を行うときに、一方的に不利な契約を結ばないよう、法律面や、生活面で支援し、本人の権利や財産を守ることを目的とした制度であります。手続を申し立てられるのは、利用者本人、配偶者、4親等内の親族となっておりますが、配偶者や2親等以内の親族がいない場合は、市町村長が申し立てを行うことができるとされております。
 平成12年からこの制度は始まりましたが、東北6県の市町村長の申し立て件数を見ますと、第4期介護保険計画期間の中で、盛岡家庭裁判所管内では16件、青森80件、秋田が28件、仙台が101件、山形が141件、福島が130件となっております。盛岡家庭裁判所の管内の場合は、市町村長の申し立て件数が少ない状況にありますが、他県の例から学び、後見人の養成や必要な周知の徹底について、もっと力を入れていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。






(この項の再質問)

◆18番(鈴木努君) 次に、成年後見制度についてお伺いいたします。
 成年後見制度、市町村長の申し立ての件数に関しては、東北の中で岩手県の盛岡家庭裁判所管内の件数が一番低いということで、全国の状況を見ても47都道府県中46位ということで、下から2番目という状況になっております。それで、盛岡でもこういうふうな状況ですと、潜在的なニーズとかあると思いますので、そのニーズの発掘といいますか、その点について今どのように取り組んでいるのかお知らせ願います。










◆18番(鈴木努君) 成年後見制度、取り上げていく中で、市の社会福祉協議会のほうでやっております日常生活支援事業についてもちょっとお話伺ったのですが、日常生活支援事業、認知症の高齢者とか知的障がい者、精神障がい者等で、判断能力が十分でない方に対する福祉サービスの利用援助とか行政手続の援助とか、そのような援助を行う制度があるんですが、その担当の方からお話を聞きますと、日常生活支援事業を利用している全体の3割の方は成年後見の対象となるということで、こういうところにも成年後見を利用したいと考えている人がいるということでありますから、ぜひ社協のほうとも連携しながらニーズの発掘等を行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎保健福祉部長(扇田竜二君)次に、成年後見制度についてでありますが、第4期介護保険事業計画期間における盛岡家庭裁判所管内の市町村長申し立て件数は16件で、このうち当市における市長申し立て件数は全体で7件で、年度別では22年度が4件、23年度が3件となっており、対象者別では高齢者に関するものが6件で、障がい者に関するものが1件となっております。
 また、23年度の当市の地域包括支援センター等における成年後見に関する相談件数は延べ192件で、被後見人等の対象となる方は60人となっており、そのうち問い合わせや相談のみで終了した方が21人、親族申し立ての意向となった方が20人、本人申し立ての意向となった方が6人、市長申し立てとなった方が3人、その他申し立ての検討継続となった方が10人となっております。
 今後におきましては、高齢の方や障がいを持った方が地域で安心して暮らせるよう、地域包括支援センターが開催する地域ケア会議や、県社会福祉協議会が実施しているあんしんねっとなども活用しながら、成年後見制度における市長申し立ての利用について、さらなる周知啓発に努めてまいりたいと存じます。
 また、市民後見人の養成については、他都市の取り組み事例等も参考にしながら、関係機関との連携も含め検討してまいりたいと存じます。

再質問への答弁

◎保健福祉部長(扇田竜二君) 今議員のほうからも話がありましたように、確かに東北6県の中を見ても、秋田と、それから福島あたりは盛岡と似たような状況ですけれども、そのほかのところはかなり高いということがございます。市としては、いずれ相談件数そのものはありますので、その中で親族調査とか、そういうふうなところに時間を使いながら、親族とのそういう関係を切らさないような形で、後見になることにつきまして、親族がいる方についてはできるだけお願いするという方式でやってきたと、それも一つ影響があるのかなと思います。ただ、今議員からお話がありましたように、人数的にはかなりの違いがありますので、今後ともこの辺につきましては周知徹底を図っていく必要があるということで、いろんな形での場面がございますので、地域包括支援センターも含めながら、これらの成年後見制度につきましては今後とも周知啓発に取り組んでいくとともに、また市民後見人の部分につきましても、24年から努力義務化されていますので、この辺についても今後の対応については市として取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

◎保健福祉部長(扇田竜二君) 今現在当市のほうで相談の中で来ているものでも、利用目的については圧倒的に金銭利用ということで、そういうサービスを、いわゆる金銭目的といいますか、金銭管理、これを目的にしたものが多いということでございますので、今後のことを考えましても市社協とは密接な関係を持ってやっていく必要があると考えておりますので、その辺は連携をきちっと保ちながら努めてまいりたいというふうに考えております。
次に、障がい者施策についてお伺いをいたします。養護学校義務制導入と前後して、全国に立ち上げられた小規模作業所が、最も多い時期では各地に6,200カ所まで広がり、障がいのある人の働く場として機能を果たしてきました。それから四半世紀たった中で、現在特別支援学校における生徒の数がふえ、卒業後働く場所が足りなくなっている状況にあり、精神障がいのある人など支援を受けながら働くことを希望する人も年々増加しているとのことであります。また、場所だけでなく、相談に乗ったり、移動や家族を支援したりという人的な支援も足りていないとのことであります。人に対する支援というものは、マニュアルどおりでは難しく、機械化された大量生産というわけにはいきません。働く場所、日中の居場所、そして十分な対応を可能にする人など、このような環境整備について、当市においてはどのように取り組んでいくのかお知らせ願います。
 次に、障がい者の方の紙おむつの支給についてお伺いいたします。当市においては、3歳以上で、治療によって軽快の見込みのないストーマ周辺の皮膚の著しいびらん、ストーマ変形のためストーマ用装具を装着できない方、先天性疾患に起因する神経障がいによる高度の排尿機能障がい、または高度の排便機能障がいのある方、先天性鎖肛に対する肛門形成術に起因する高度の排便機能障がいのある方、脳原性運動機能障がいにより排尿または排便の意思表示が困難な方のいずれかの要件を満たし、なおかつ世帯主の市民税所得割額が46万円以下の人には、紙おむつに対する助成制度が設けられております。世帯主の所得割合がこの制度よりもわずかながら上をいっているために制度が使えず、入院時におけるおむつ代が余りにも高過ぎるとの声が寄せられました。このような入院時におけるおむつの支給について、拡充することができないでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、障がい者への支援環境の整備にどのように取り組んでいるのかとのことでありますが、市内の特別支援学校卒業後の進路状況については、平成20年度は卒業生が100人で、そのうち就職者が25名、施設通所者が40名の計65名で、23年度は卒業生が94人で、就職者が25名、施設通所者が50名の75名という状況となっております。
 また、障がい福祉サービス通所事業所については、20年度では89事業所で利用定員1,073人であったものが、23年度では112事業所で利用定員は1,469人と増加しておりますが、障がいの程度により希望どおりの就職先や事業所に結びつかない例もあると伺っておりますことから、多様なニーズに応えるため、障がい者自立支援協議会などを活用し、関係者で情報を共有しながら、障がい者福祉の向上に向けて民間の施設整備を促してまいりたいと存じます。
 一方、相談等に関する人的支援については、市が委託している5つの相談支援事業所において、障がいのある方や家族の相談を受け、障がいの特性や個々の実情に応じた支援に努めているところであります。
 また、就労支援については、ハローワーク等と連携し、働く場の拡大や一般企業の障がいのある方への理解の促進に取り組んでいるほか、支援学校の卒業生については関係者による移行支援会議を行うなど、教育や福祉、他の関係機関とも連携しながら支援を行っているところであります。
 今後におきましても、ハード面とソフト面の環境整備を一体的に図り、切れ目のない支援の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、障がいのある方への紙おむつの支給の拡充についてでありますが、現在紙おむつは盛岡市重度障害者等日常生活用具給付等事業実施要綱により支給を行っているところであり、本制度は18年10月に市町村事業である地域生活支援事業に変更となった際に、基本的には国の支給範囲や基準を踏襲し、条例を制定したものでありますが、支給基準額を月額1万2,000円と定め、所得の要件を障害者自立支援法施行令に定める補装具制度と同一の基準とし、世帯の最多所得者の市町村民税の所得割額が46万円未満としているところであります。
 また、東北の県庁所在都市においては、青森市以外の4市が当市と同様に所得制限の基準を設けている状況であることや、障がいのある方の負担を軽減し、特にも生活が厳しい家庭を支援することを趣旨としておりますことから、現段階で要件を緩和することは考えておりませんので、御了承願います。
 なお、青森市において要件を緩和している事例もありますことから、他都市の状況や障がい者団体等の意見を伺うとともに、必要に応じて市社会福祉審議会障がい者福祉専門分科会において、同事業のあり方について協議してまいりたいと存じます。
 次に、農業支援策についてお伺いをいたします。2012年に入り、市町村では地域農業マスタープラン--以下人・農地プラン--の作成が進められております。この人・農地プランは、農地集積による規模拡大や若者の新規就農の促進に向け、2012年度予算政府案の決定に合わせて、一昨年末に農林水産省が打ち出した政策であります。集落単位を基本とし、より広い範囲でのプラン作成も可能となっております。規模拡大や農業法人にとって高い関心がある一方で、さまざまな戸惑いも生じております。農業政策には多くの人や組織がかかわっているのが普通であり、制度の導入とこれからの農業の運営を支えていく上でさまざまなコストが生じることなど、これまでの農業政策とはまた違った要素がこの人・農地プランにはあるように思われます。この人・農地プランの作成を進めていく上で、農家の方からどのような反応があるのでしょうか、お伺いをいたします。
 新規就農者への支援についてお伺いをいたします。新規就農者への支援策として、現在青年就農給付金経営開始型と青年就農給付金準備型があります。経営開始型は、農業を始めてから経営が安定するまでの方で、原則として45歳未満で独立、自営就農する方、就農する市町村の人・農地プランに位置づけられている方、就農後の所得が250万円未満の方が対象となっており、給付額は年150万円、最長で5年間となっております。また、準備型は、道府県農業大学校や都道府県が指定する先進農家、先進農業法人等で研修を受ける方で、原則として就農予定時の年齢が45歳未満の方、都道府県が認める研修期間等でおおむね1年以上研修する方、研修終了後1年以内に就農する方、みずから農業経営または農業法人に雇用されて就農する方が対象で、こちらは人・農地プランに位置づけられていなくても受給でき、年150万円、最長2年間となっております。
 これらの制度は、農林水産省が2012年に新規事業としてスタートさせ、政策目標として青年新規就農者を毎年2万人定着させ、持続可能な力強い農業の実現を目指しています。2012年度の当初予算は135億7,400万円であり、給付希望者を8,200名と見込んでおりましたが、年度当初の都道府県からの申し込みは1万5,400人の申し込みとなっており、農林水産省の見込みを大幅に上回る状況になっております。
 しかしながら、この就農給付金経営開始型については、家の農業を継ぎたいと考えている方などの農業後継者については条件の多い制度となっており、農家をしている方から、地域の農業を引き継いでいくような人にも適用できないものかとの声も出ております。例えば現在の制度では、親とは別の経営をする場合には給付金の対象となっており、農業経営を引き継ぐためには5年以内に親から経営を継承し、なおかつ人・農地プランに位置づけられていなければなりません。農業後継者にも使いやすいよう、この制度の緩和について検討するべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、農家の方は、その地域に農業後継者の軸となる人を育てていきたいとの強い思いがあります。現状の制度は、主に新規就農といっても脱サラをした一定の経済的余力のある人を対象としているように感じられます。学校を卒業して、すぐ農業に従事したいと考えている人が農業につけるような、そのような制度について、市でも独自に検討していくべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。

(この項の再質問)

◆18番(鈴木努君)
また、農業支援策についてなんですけれども、新規就農者の関係で、私、新規学卒者の方を研修生として受け入れている方のお話を聞いてきたんですが、新規就農していく上で一番不安だというふうに感じているのは、やはり経済的な面ということでありました。準備型の活用もしていくということでありましたけれども、市独自として国の経営開始型のあのような年150万という、ああいう大きい額とはいかないまでも、市独自として、せっかく学校を卒業して農業につきたいという、このような方が盛岡で出てきておりますので、ぜひそういう方に対する支援について独自に検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 
 ◎農林部長(中川政則君) 地域農業マスタープランの作成を進めていく上での農家の反応についてですが、これまで太田地区、都南地区、玉山区などで説明会を開催し、地域の方々と話し合いを重ねてまいりました。話し合いの中では、規模拡大加算の交付単価に対する意見や、青年就農給付金制度の交付要件の緩和などを求める意見などがありましたが、高齢化が進んで先行きが不安であるとか、後継者がいないため農地をどうやって守っていくのかなど、地域農業の衰退を懸念する声が多く、これらの課題に対応するマスタープランの作成への期待の大きさを実感したところでございます。

 次に、青年就農給付金の制度緩和についてですが、経営開始型の給付金は、就農者の経営が安定するまでの間を支援するものでありますが、意欲があっても要件を満たさないために支給を受けられない就農者が見られますほか、親元就農者に対する支援も課題の一つであると考えております。このことから、議員御指摘のように、地域農業の担い手の確保と育成につながるよう、青年就農給付金の年齢要件などの緩和とともに、親元就農者等への新たな支援制度の創設について、国等の関係機関に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、学校を卒業して新たに就農を希望する方に対する市独自の制度についてですが、平成23年度から実施している新規就農総合支援事業により、新たな就農を喚起できるよう短期講座や現地見学会を継続して実施するほか、県が実施する農業技術の研修を受ける際に給付される青年就農給付金の準備型の制度も積極的に活用し、新規学卒者等の就農支援を図ってまいりたいと存じます。

































再質問への答弁

◎農林部長(中川政則君) 新規学卒者の支援ということでございますが、まず準備型で2年、年間150万、2年、それが終わりましてから例えば経営開始型で5年というような形での所得に対する確保の給付金が支給されるということにはなっておりますが、それ以上に市のほうでということでございますが、これらの制度を十分活用していただくような形で、先ほど申し上げました市のいろいろな支援事業を絡めまして、こういう制度を十分に生かして使っていただくような方向で進めたいということも思いますし、また実際に農業に入るということになりますと、融資制度もございますので、いずれそれらも含めまして、総合的に新規学卒者の就農支援、このような支援を図ってまいりたいというふうに存じます。

 定住支援策についてお伺いをいたします。盛岡市において、松園ニュータウンをモデル地区に空き家、空き地情報を市ホームページ等で紹介する空き家等バンク制度が開始され、ニュータウンの活性化を目指すこととされておりますが、新聞報道では開始1カ月半の時点で肝心の登録物件がゼロと、地元の反応が鈍いとのことでありましたが、現在の状況はどうでしょうか。
 また、利用希望者をふやす働きかけについて、市ではどのように取り組んでいくのかお知らせ願います。
 全国の数多くの自治体では、定住促進に向けた取り組みとして、定住促進の奨励金制度や農業研修者への住宅の貸し出しなど、多くの制度が出てきております。私は、平成22年の12月議会で若者の定住促進をさせていくために、外国での取り組みや他自治体の取り組みについて紹介しながら、当市における若者の家賃補助について求めたわけでありますが、谷藤市長は定住促進に向けた新たな取り組みの中で参考にしていくとの答弁でありました。どのように検討されたのかお知らせ願います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。













(この項の再質問)

◆18番(鈴木努君) 何点か再質問させていただきます。
 まず、定住促進についてなんですけれども、今全国の自治体の中でも定住促進の施策とか空き家バンク等の施策が数多く広がってきている中で、やはり情報の提供の仕方、またニーズとマッチングとか、そういう点について、ほかの自治体もやっている中で情報が埋没しないように、ある程度これから工夫をしていく必要があると思います。その点について、今後どのように考えているのかお知らせ願いたいと思います。
 ◎市長(谷藤裕明君)次に、定住促進に関する検討状況についてでありますが、若者の定住促進につきましては、雇用環境の改善や生活環境の向上につながる施策など、魅力あるまちづくりに向けたさまざまな施策が考えられるところであります。本市におきましては、現在まちづくり研究所において若者の支援のあり方を研究しているところでありますので、その研究成果を参考にしながら、家賃補助制度について引き続き検討してまいりたいと存じます。
◎都市整備部長(藤島裕久君) 空き家バンク制度の登録状況についてですが、平成25年2月末時点において登録されている物件はございませんが、昨年12月の運用開始から現在までにおいて、権利者からの問い合わせや地域からの情報が9件ほど寄せられており、現地調査等を行い、登録可能と判断した物件もありますことから、登録の意向を示されている物件につきましては、調整を図り登録の事務手続を進めてまいります。また、物件の利用の希望者登録につきましては、現在2件の登録がなされている状況でございます。
  バンク制度の利用促進に係る取り組みについてですが、物件の登録に関しては今後も地域の皆様やNPOからの情報収集に努めるとともに、岩手県宅地建物取引業協会や全日本不動産協会岩手県本部の協力をいただきながら、登録物件の増加を図ってまいりたいと考えており、また、物件の利用希望者への周知につきましても、市のホームページで随時周知するほか、ツイッターなどの利用も検討してまいります。
 今後につきましても、当制度の運用を図りながら具体的な課題などについての検証を行い、空き家の利活用の促進が図られるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

再質問への答弁

◎市長公室長(東藤郁夫君) 私のほうから、1点目の定住促進策についてお答えを申し上げたいと思います。
 この定住促進につきましては、ワンストップサービスというような形で企画調整課のほうがその窓口というようなことで取り組んでおります。関係部署をいろいろまたがるものですから、そういうワンストップサービスということで取り組んでおりまして、これまではホームページのほうはばらばらといいますか、それぞれの部署のほうでの情報提供ということになっておりましたけれども、今年度、議会での御意見も踏まえまして、定住促進というようなことで、企画調整課のところにトータル的な情報提供という形でホームページのほうにアップをしております。
 この定住促進につきましては、雇用の場の確保とか、あるいは子育て環境の充実とか、いろんな総合的な施策によってそういう定住促進が図られるものと考えておりますので、先ほど市長のほうからも答弁申し上げましたけれども、まちづくり研究所のほうで若者に対する支援ということで、どういうものが必要なのかということを現在課題の検討とか、25年度においてはどういうふうな支援が必要かというようなことを24年度、25年度の2カ年で取り組みをしておりますので、それらの成果も踏まえて、今後さらに検討していきたいというふうに考えているところでございます。