2019年12月議会での神部伸也議員の一般質問の概要をお知らせいたします。 (質問項目)
1、子どもの貧困対策について
積極的な財政出動 子ども食堂を学区単位に
スクールソーシャルワーカー配置
学習支援、修学援助の拡充
2、生活保護について
小田原から学んでCWの資質向上を
「しおり」の活用
自動車保有の要件拡大、既利用者へのエアコン補助を
3、教育課題について
教員の「変形労働時間」制度の導入について
「守谷型カリキュラムマネジメント」について
いじめの実態と対策について |
1、子どもの貧困対策について
① 積極的に財政出動を行って、貧困の連鎖を断ち切る取り組みを強めるべきと、考えを質した。
市長は、 平成30年3月に「盛岡市子どもの未来応援プラン」を策定し、各般の取組(※)を推進してきた。現在、令和2~6年度までの第2期計画を策定中で、これまでの取組の課題等を検証し、その結果を踏まえた取組を第2期計画に反映し、「すべての子どもが将来に希望を持つことができるまち・盛岡の実現」の基本目標の達成に向け、子どもの貧困の解消に向けた取組を更に強化してまいりたいと答えた。「積極的に財政出動」については触れられなかった。
(※)子どもの医療費助成、インフルエンザ予防接種補助の給付対象の拡大、就学援助費におけるクラブ活動費の創設、生活困窮世帯への学習支援、子ども未来基金を活用した子ども食堂の開設支援など。
② 「子ども食堂」の設置について、「中学校区に1箇所」「小学校区に1箇所」を目標に取り組むべきと質した。
子ども未来部長は、具体的な目標設置数などは定めていないが、小学生が徒歩で通える範囲に居場所があることが望ましいものと考えており、各小学校区に1箇所程度の子ども食堂の開設は理想的である。子ども食堂の取組は、運営団体などの自主、自律的な取組に支えられていることから、今後についても、運営団体などの取組が促進され、全市に展開されていくよう、子ども未来基金の活用などにより、積極的な支援に努めると答えた。
③ スクールソーシャルワーカーの増員について
子ども未来部長は、生活支援対策特別委員会のご提言を踏まえ、市教育委員会と協議してまいりたいと存じます、と述べるにとどまった。
④ 学習支援の取組について今年度の取組状況と今後の拡大について質した。
保健福祉部長は、令和元年11月末現在、対象者は816人(生活保護130人、就学援助686人)で、102回開催し、参加人数は実人数で91人(前年同期比28人増)、延べ人数で1,184人(同492人増)。令和元年度の夏休み臨時会場での参加人数は、4会場で述べ12人(同10人増)と回答。
今後の拡大は、参加者とその保護者の意見やニーズを把握しながら、更に学習会の周知方法や内容の充実について検討したいと答えた。送迎支援は、自宅から最寄りの会場まで3キロメートルを超える方や、障がいや移動に支障がある方などを対象に、自己負担なしで実施していると答えた。
「学習支援事業」・・平成27年度から実施。生活保護と就学援助を利用している中学生を対象に、月4回、市内3会場(青山地区活動センター、もりおか若者サポートステーション(盛岡駅前)、都南公民館)で学習の場を提供。夏休みと冬休みに、4か所の臨時会場で2日間の学習会を開催している。
⑤ 就学援助の追加3費目(クラブ活動費、生徒会費、PTA会費)の拡大について
教育部長は、現在、市内の小学校を対象に、生徒会費、PTA会費及びクラブ活動費について調査をしているところ。この調査結果を精査しながら、追加3費目の更なる拡大について検討していく、とのべるにとどまった。
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2、生活保護について
① 小田原市の「在り方検討会報告書」に学んで、ケースワーカーの資質向上を。
谷藤市長は、全体研修では他の相談支援機関等で行われている支援について学ぶ研修を導入したほか、新人対象の研修では、全面改定した「生活保護のしおり」を活用するなど、その充実を図っているところ。今後とも、小田原市の報告書の趣旨を取り入れながら、ケースワーカーが職務に対する誇り、使命感、やりがいなどを育むことができるように、鋭意、取り組んでまいりたい、と答えた。
② 「生活保護のしおり」の活用状況について。
保健福祉部長は、平成31年3月末に、市の施設や関係部署の窓口、社会福祉協議会などの相談機関39か所に送付し、業務の参考にしていただくとともに、窓口で市民の方が手に取って見ることができるようにしたほか、5月には、全ての民生児童委員に配布を行った。また、民生児童委員定例会長会、民生児童員を対象にした生活保護制度の研修会や説明会でも、新しい「生活保護のしおり」を紹介するとともに、今後も市民の皆様に、これによりわかりやすく丁寧に説明を行い、制度を身近に考えていただけるよう努めたい、と答えた。
③ 国に対して、自動車保有・使用要件を拡大するよう求めるよう要請した。
保健福祉部長は、自宅から保育所を経由して通勤する際に、自動車の利用が認められるのは、公共交通機関を利用して通所できる保育園がない場合に限られていたものを、平成30年4月からは、保育園を変えることが適当でないと判断される場合も認めるなど、要件は緩和されつつある。
現在まで全国市長会を通じて、自動車の利用・保有の要件の緩和について要望していることに加えて、国や県の事務監査等の機会を捉え、本市の実情について、引き続き、情報提供や要望をしてまいりたい、と答えた。
※ 令和元年11月末現在、18世帯が保有を認められている。
・事業用として使用する場合4世帯、・通勤用として使用する場合8世帯、
・障がい者が通勤・通学・通院・通所に使用する場合4世帯
・公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通院等に使用する場合2世帯
④ 従前の生活保護利用者へのエアコン設置補助と電気代の支援を求めた。
保健福祉部長は、本市として生活保護制度に上乗せした独自の助成は、考えておらないが、エアコン設置の希望については随時、意向の確認を行っている。電気代の支援は、現時点では保護費には加算の制度は無く、電気料金については保護費のやり繰りで対応していただく。なお、全国市長会を通じて、すべての生活保護利用者が冷房器具の支給対象となるよう制度を改めること、夏季の冷房器具使用に係る電気料金相当分を扶助する「夏季加算」の創設について要望している、と答えました。 |
3、教育課題について
①教員の「働き方改革」として「変形労働時間制度」を導入する、「改正公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」が国会で成立した。
導入時期は2021年4月から。職場で導入を認めないという世論があれば導入は出来ないのではないか。教育長の所見と今後について質問。
教育長は、同制度の導入については、「統計上の時間外勤務時間を減らすだけで、勤務実態はかえって悪化するのではないか」といった懸念や不安も出ているので、今後示される省令や指針など、詳細について把握に努め、真に教職員の負担軽減につながるものかどうかを見極めながら、対応してまいりたい、と答えた。
②茨城県守谷市の「守谷型カリキュラム・マネジメント」の導入の検討を求めた。
教育長は、メリットもあるが、長期休業日の短縮による猛暑の際の対応や、教職員の休養と研修との関係、三学期制を二学期制にすることによる長期休業に対する考え方、学習・生活のリズムづくり、評価の在り方等の課題もあるので、令和2年度から実施する盛岡市の長期休業日の変更と合わせ、今後、研究してまいりたい、と答えた。
「守谷型カリキュラム・マネジメント」
市立小中学校で、小4~中3まで、毎日6時間授業から、週3日を5時間授業に変更など。
③盛岡市のいじめの実態について質問。
教育長は、平成30年度の市立小中学校の状況は、認知件数1,434件で、主な内容は、「冷やかしやからかい」808件、「軽く叩かれる」371件、「仲間はずれ」218件。見守りを継続している事案もあるが、ほとんどの事案は拝承されている。不登校については、30日以上欠席した児童生徒数は319人で、主な理由は、「家庭に係る状況」や「学業不振」、「いじめを除く友人関係」など。暴力行為は、小中学校全体で16件の報告があり、その後の指導により解決した。
いじめをなくす取組は、
・平成31年3月に「盛岡市いじめ問題対策連絡協議会等条例」を制定し、新たに、協議会委員に法務局職員や社会福祉士、岩手県福祉総合相談センター職員を加えた。
・令和元年度は、「盛岡市いじめ防止等のための基本的な方針」を改定。
・児童生徒と保護者に対する「いじめアンケート」の実施と分析、毎月1日を「心の日」として、児童生徒にいじめについて考える機会の設定。
・市の教育相談室における来談、電話、メール相談への対応など。 と答えた。
全国・・小中高校で認知された件数(平成30年度)、54万3,933件(前年度比、約13万件増)
小学校42万5,844件(29年度31万7,121件)
中学校 9万7,704件(同8万424件)
高校 1万7,709件(同1万4,789件)
小中高の暴力行為7万2,940件(同6万3,325件)
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