2019年10月定例会 最終日の会派の討論

 
「議会報告」トップへ      市議団トップへ
 2019年10月議会 最終日の日本共産党盛岡市議団の討論(鈴木努議員)を紹介します。
 日本共産党盛岡市議団を代表し、今議会に提案された議案及び認定案件に対する意見を述べます。

≪議案に対する意見≫

 初めに、議案について意見を述べます。議案第97号令和元年度盛岡市一般会計補正予算(第3号)について、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金を活用し、地域密着型特別養護老人ホーム及び認知症高齢者グループホーム、各1施設に非常用自家発電設備の整備補助を実施しようとするものであります。この交付金は、非常用発電設備の整備以外にも、スプリンクラーの整備やブロック塀の改修など防災関連にも使えることから、整備が必要な施設に交付金が活用されるよう市としても取り組んでいただきたい。

 議案第98号及び第99号は、地方公務員法、地方自治法の改定によって設けられた会計年度任用制度が2020年4月から施行することに伴う関係条例の規定の整備及び新たに設けられる会計年度任用職員の給与等に関する新たな条例を制定しようとするものであります。法改正によって新たに設けられた会計年度任用職員の制度は、地方公務員制度の大改革とも言われるものであります。
 本来公務労働は、住民の命と暮らしや権利を守る自治体の業務であり、恒常的で専門性が要求され、臨時的で非常勤的な職員が担うことを想定しておりませんでした。しかし、相次ぐ公務員減らし、職員削減の中で、臨時、非常勤の職員の比率が拡大し、今ではその臨時、非常勤の職員なしで市役所の仕事は成り立たない状態にさえなっております。
 今回の会計年度任用職員制度は、任用根拠が曖昧だった臨時、非常勤の非正規職員の任用に基準を与え、各種手当の支給などができるようにするものでありますが、本来ならば正規職員によって担われるべき公務労働に非正規職員を充てることを追認、固定化し、その業務を拡大させ、官製ワーキングプアをさらに拡大する根拠にもなり得るものであります。
 法律施行に伴う条例の施行、運用に当たっては、この際業務全体を見直し、恒常的な業務については正規職員を配置する、会計年度任用職員については臨時的業務に限定することを原則にするよう求めます。
 また、会計年度任用職員の給与の内容については、別に規則で定めるというものでありますが、その規則制定に当たっては、これまでの臨時、非常勤で働いていた方々に不利益が生じないようにしていただきたい。特に現在市が準備している内容では、期末手当を支給するかわりに、例えば保育士、栄養士、保健師、看護師などで、19万円から20万円台の現行から3万円から4万円近くも下回るなど、月々の暮らしを圧迫する内容になっていることは問題であります。総務常任委員会で、総務部長はこのことについて再検討すると答えました。ぜひ月給の減額を伴うことのないようにするよう求めます。
 以上、認定を除く議案について賛成をいたします。

≪決算認定について≫
 次に、認定案件について、認定第1号、認定第5号、認定第6号、認定第7号に反対をいたします。

≪反対意見≫
 認定第1号平成30年度盛岡市一般会計歳入歳出決算について、反対理由の第1は、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進事業について、住民の反対の声を無視して、ごみ処理広域化を進めようとしていることであります。当初平成29年度中に候補地4カ所から1カ所に絞り込むとしておりましたが、決められず、平成30年9月まで、平成30年度末まで、平成31年度の早い時期にと3回も先延ばしをして、盛岡インターチェンジ付近を最有力候補地として選定しましたが、決定には至っておりません。
 そこに至る過程では、整備予定地の半径500メートル以内の住民にしか説明しないという姿勢が住民の批判を招き、住民説明会を行えばどの場所でも、すればするほど広域化に疑問や反対の声が広がるという事態となっております。盛岡インターチェンジ付近が最有力候補地となってからも、地域の商店街から反対の署名が提出されるなど、反対の声が広がっております。
 合意が得られない最大の問題は、広域化、大型化の是非そのものであります。広域化すれば、ごみ減量、資源化に逆行し、整備地に与える環境負荷は、交通渋滞も含めて甚大な影響をもたらします。広域化すればコストがかからないという問題も、使える焼却炉を平成40年度に一斉に廃炉にするという矛盾が残されたままです。
 近年自然災害が大規模化しているもとで、集約化は大きなリスクを背負うことになります。ごみ処理広域化計画は白紙撤回し、根本から見直すよう求めます。
 第2に、保育所の民営化についてです。待機児童対策緊急プロジェクトの中で、30年度から、緊急的な対応として150人の未満児の定員確保することは評価いたします。
 しかしながら、今月から始まった幼児教育・保育の無償化により、今後さらに保育需要が高まる中、未満児保育の拡大や休日保育の実施など、これまでも全園民営化方針があるために、公立保育園がその役割を果たせない状況となっております。待機児童の解消、保育の充実のためにも、保育園の全園民営化方針は凍結し、見直しをするべきであります。
 第3に、教育予算について、学校施設の老朽化が深刻な問題となっているもとで、予算を十分に措置せず、建設費用が増大したからと先送りしたことであります。平成30年度の実施計画に掲載されていた16施設が、令和元年度の実施計画で令和4年度以降に先送りされました。
 今、校舎の老朽化によって、先日の北陵中学校で、天井、壁面の薄壁の崩落で生徒が事故に巻き込まれかねない事態となりましたが、安全対策上も早急に改修計画を進めるべきです。加えて、トイレの老朽化による悪臭の問題も深刻な問題となっております。
 学校改修計画を緊急プロジェクトに位置づけ、十分な予算措置も行いながら、一刻も早く整備を進めるよう求めます。
 
 第4に、盛岡市が平成30年度から導入を進めてきた、いわゆるPark―PFI事業
は、市民合意のないまま拙速に進められた結果、重大な問題を生じさせております。
 木伏緑地では、この事業による施設整備が済んでいよいよ開業という直前に、地元の町内会や商店組合の計6団体から、岩手山や北上川、開運橋を眺望する、盛岡らしさをかもし出す、観光にとって非常に重要な場所に、コンテナハウスを積み重ねた建物群について、市民の共有の財産である緑地のあり方を全く無視する行為だと断じられ、公園を利用する市民として到底承認できない、市民の貴重な財政を守るため、建物の撤去を求めるという意見書が市と議会に出されたのであります。
 また、盛岡城跡公園についても、アパレル関係など3社がカフェ、売店、ギャラリーなどを置く計画について、報道によれば、文化庁から盛岡城の保存、整備計画の効果に多大な影響が懸念されるとの指摘を受け、来年度に予定していた国指定史跡盛岡城跡としての整備と樹木整備の一部事業を先送りするという事態になっています。
 このような事態となった市の責任は重大です。木伏緑地、盛岡城跡公園の持つ歴史的、文化的価値を理解せず、にぎわいで価値を高める、民間事業者のお金で公園を整備するなどと、短絡的な発想で進めてきたのではないでしょうか。都市公園は、あくまでも市民からその管理を任されているものです。にもかかわらず、民間事業者の事業用地に提供するなどという重要な決定を市民にも十分知らせず、市民的な合意もないままに進めてきた責任は重大であり、この決算を認めることはできません。根本的な反省の上に立って、この事業の見直しを強く求めます。
 
 認定第5号平成30年度盛岡市国民健康保険費特別会計歳入歳出決算については、平成30年度から始まった国保制度の広域化に反対する立場から当初予算に反対をいたしました。その立場で、決算認定にも反対をいたします。
 国保税は、被用者の他の保険の保険料と比べても異常に高く、協会けんぽと比べても2倍近くの高さとなっております。その要因は、家族一人一人にかかる均等割にあり、世帯に一律にかかる世帯割とともに、他の保険にはないものです。国の1兆円の公費負担を実現して、均等割をなくすなど、国保税の軽減を強く求めていただきたい。
 あわせて、宮古市などで全額免除、仙台市では3割軽減など、18歳以下の子供の均等割の軽減を行うよう求めます。

 認定第6号平成30年度盛岡市介護保険費特別会計歳入歳出決算については、平成30年度に介護認定の厳格化や介護保険からの卒業の強要など、介護給付費の抑制を自治体で競わせる、いわゆる財政的インセンティブが導入されました。このことが利用者のサービス切り捨てになることから、当初予算に反対をいたしました。
 その立場から本認定にも反対するとともに、平成29年度から本格実施となった総合事業については、平成28年度から30年度にかけて、事業所の数が通所では130事業所から106事業所、訪問では105事業所から77事業所に減っております。この背景には、報酬単価が包括払いから単価払いになったことによる事業所の減収が大きな要因となっております。
 全国の自治体では、総合事業へ移行することによる事業所への影響を最小限とするため、包括払いのまま事業を継続している例もあることから、当市でも事業所の実態を調査しながら、報酬の見直しをするよう求めます。
 
 認定第7号平成30年度盛岡市後期高齢者医療費特別会計歳入歳出決算については、制度そのものが75歳という年齢で区切った医療保険制度に強制加入させられ、それまで被扶養者として保険料負担のない人からも保険料を徴収するという、まさに年齢で差別する制度でありますが、制度そのものが年々改悪され、高齢者に負担増が押しつけられております。
 被扶養者だった方に対する均等割軽減特例措置の見直しでは、平成30年度から令和元年度にかけて約1,300人、2,500万円の負担増が押しつけられ、新たな所得割軽減措置の見直しが行われようとしております。
 生活困窮が原因となっている普通徴収者の滞納者に対しても短期保険証を発行しており、盛岡市の国保制度と違った対応となっております。この面でも年齢で差別する制度となっており、本認定に反対をいたします。
 以上の理由から、認定第1号、認定第5号、認定第6号、認定第7号に反対をいたします。

≪その他の意見≫
 そのほか、反対理由以外に次の意見を述べます。平成30年度決算において、地方消費税交付金の歳入が約59億9,283万円に対して、その分の基準財政収入額に49億9,283万円が組み入れられ、地方交付税の交付金が減額され、事実上約10億円の歳入効果でありました。
 それに対して、盛岡市が一般会計で消費者として負担した消費税が約21億円で、差し引きマイナス10億円となり、消費税が市民の暮らしや地域経済にマイナスとなっているだけではなく、地方財政にもマイナス効果となっていることは明らかであります。消費税増税は、増税ではなく、減税こそすべきであります。
 ふるさと納税について、平成30年中に盛岡市に入った寄附金総額が7,290万円に対して、盛岡市民が他の自治体に納めた寄附金による税額控除で、盛岡市に本来入るべき市税が2億3,324万円少なくなります。差し引き、歳入で1億6,034万円のマイナスとなり、それに加えて返礼品や事務費などで3,758万円の支出となっておりますから、合わせて、この制度の運用によって、盛岡市財政には約2億円の赤字となっており、昨年に比べて6,000万円以上赤字幅が拡大をしております。市の努力以前の制度そのものに欠陥があります。
 返礼品を提供するほかに税額控除までするこの制度は、お金持ちには絶対的に有利な制度であり、これを改め、本来の純粋にふるさとや被災地を応援したいという制度に立ち戻るべきであります。国に強く意見を上げていただきたい。
 台風15号、19号及び21号の影響による豪雨災害と甚大な災害が相次ぎました。亡くなられた方々に対してお悔やみを申し上げ、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 今回の一連の大災害がこれまでの想定を上回る災害が頻発していることを踏まえ、盛岡の災害への備えについても、必要な見直しと対策の強化を求めます。
 生活保護基準の見直しにより、平成30年10月から令和2年9月まで、3年連続で生活保護費が引き下げとなります。ことしは、消費税増税の対応として、保護費本体で1.6%のプラス、その他の加算が1.9%のプラスとなりましたが、来年度においてはこの増税対応分もなくなり、さらに保護費の引き下げもあることから、大幅な減額が見込まれております。このような削減の見直しを国に求めていただきたい。
 また、昨年4月からの生活保護利用者について、希望者にエアコンの支給が行われましたが、それ以前の方々については支給の対象となっておりません。ことしの夏も当市で35度を超える猛暑日が記録されるなど、夏の熱中症対策が求められている中、従前からの生活保護利用者の方についても支給の対象となるよう、国に対し見直しを求めていただきたい。
 学習支援事業について、長期休みの期間に新たに4カ所で事業が始められましたが、松園の地域については参加者がいなかったとのことであります。住民に対する周知が不十分だったためと思われますが、このような事業を行う際には、住民に対する周知徹底を行った上で行われるべきであり、今後においてはしっかりとした対応するよう求めます。
 県と共同で整備予定の動物愛護センターについて、県から7つの整備条件が示された中、今月その内容について、大筋での合意が図られ、今後細部にわたっての検討がされるとのことであります。県内では初めてのセンター設置となりますので、動物愛護の拠点施設として、その機能が十分に果たされるよう整備を進めていただきたい。
 中学校の部活動の指導については、スポーツ庁のガイドラインに基づいて平成30年度に策定した盛岡市における部活動の在り方に関する方針を周知徹底させること、今回明らかになった部活動指導における顧問教師からの生徒に対するパワハラ事件を検証し、教訓を明らかにし、二度とこのようなことが起こらないようにするとともに、子供たちが生き生きと部活動の中で学び、成長できる部活動となるよう取り組みを求めます。
 小中学校の備品購入費については、本来保護者が負担すべきでない備品費の徴収が発生している実態を早期に調査の上、解消するよう求めます。
 給食費の集金について、当市では公会計化への検討がされており、既に近隣市町でも公会計処理へ移行しております。保護者の負担軽減とともに、教員の働き方改革が叫ばれている中、教員を集金業務から開放するためにも、給食費の公会計化を早期に実施するよう求めます。
 市立図書館整備に当たっては、県公立図書館等振興指針の基準に照らしても、開架スペース面積の確保も課題の一つとなっております。このことも踏まえて、整備に当たっては、図書館協議会や利用団体協議会を初め、双方向で協議しながら図書館づくりを行うよう強く求めます。

 平成30年度盛岡市病院事業会計決算については、平成30年度の単年度収支が4,278万円の黒字となりました。これまで取り組まれてきた経営改善の努力を評価するものであります。
 一方で、30年度に病院が負担した消費税の損税は1億2,835万6,000円にも上っており、病院の経営を圧迫しております。さらに、ことし10月からの消費税の増税により、当初予算ベースで2,728万5,000円の負担増となり、病院経営に大きな影響を与えます。この点からも消費税は減税をしていくべきであります。
 また、厚生労働省は、公立・公的病院の再編統合に向けた議論を促すとして、全国424病院の病院名を一方的に公表し、盛岡市立病院もそのリストに挙げられました。厚労省の分析で、診療実績が少ないなどと判断した病院を公表したと言いますが、地域ごとの実情を踏まえたものとは言えないものであり、全国一律の基準を設け、地方に押しつけるやり方は極めて乱暴であり、厚労省と病院や自治体関係者との意見交換会でも批判の声が出されております。
 住民や医療現場、地方自治体の声を置き去りにして、公立・公的病院の再編統合を無理に進めることに道理はありません。安全、安心の医療体制の確立と地域の実情に合った見直しを国に対して強く求めていただきたい。

 請願については、全て賛成をいたします